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B787不具合で露呈したリチウムイオン電池に潜む危険性とは?

2013/01/18 09:03 by   ニュース・新車, テクノロジー, ビジネス・経済

このところ、ボーイング社が開発した新鋭機、B787で燃料漏れや発火などの不具合が多発しており、FAA(米連邦航空局)が16日、ANA機がバッテリーの異常で緊急着陸に至った事などからB787型機を運航する航空会社に運航停止を指示、国交省からも17日に停止を発令。

B787   (出展 ボーイング)

ロイターが伝えるところによると、今回問題となった一連のリチウムイオン電池はGSユアサ製で、仏Thales(タレス)社の制御回路と共にボーイングへ納入され、機内与圧や空調用の補助動力装置(APU)用の電源として使用されている物。

 NTSB(米国運輸安全委員会)によると、1月7日にボストン・ローガン国際空港で駐機中のJAL B787機体後方電気室から出火したAPU用リチウムイオン電池は重量が約29kg、サイズは48cm×33cm×26cmと意外に小型。

B787では機体前方の電気室内にも同タイプの「メーンバッテリー」用リチウムイオン電池が搭載されており、16日にANA機のコックピット内から発煙したバッテリーも同じくGSユアサ製。調査の結果、バッテリーの一部が変色し、電解液が漏れていることが確認されたと言います。

従来機では、フラップを動かす油圧ポンプやエアコンの駆動に、ジェット・エンジン内部の高圧縮エアを抜き出して利用しているのに対して、B787では燃費向上の為、装置の多くを電動化しており、これに伴い大容量ながらも軽量・コンパクトなリチウムイオン電池を採用。 

リチウムイオン電池構造(出展 経産省 資源エネルギー庁)

既にリチウムイオン電池は携帯電話やノートPCなどに幅広く用いられていますが、軽量化が図れるメリットが大きい反面、金属酸化物や炭素材料、ポリマー、有機溶媒など非常に多くの材料から構成されており、普及当初は重要となる電圧制御などの安全面への配慮不足から、充電時の発熱や発火が問題視されて来た経緯が有ります。

GM ボルト

一方、自動車ではGMのPHV車「ボルト」での発火問題が記憶に新しいところ。同車に搭載されているのは韓国LG化学製のリチウムイオン電池で、NHTSA(米国道路交通安全局)が行った側面衝突試験後、数日経って電池を180度回転させた際に発火したと言います。 

GM ボルト 側突試験(出展 NHTSA)

GMは1ヶ月以上に渡ってボルトの生産を中止。衝突時のバッテリー損傷が主要因と判断し、対策としてフロア廻りの大幅補強とバッテリー冷却水の水位をモニターするセンサーを追加。

日本でも三菱 i-MiEVや日産リーフ、トヨタ プリウスPHVなどのEV車やHV/PHV車用駆動用電池として採用実績が有りますが、こちらは現在のところ特に目立った不具合は無い模様。

GM ボルト フロア補強対策(出展 GM)

以上のように航空機、自動車を問わず、エネルギー密度が高いリチウムイオン電池は充電時の電圧制御や衝撃などへの配慮が欠けると最悪の場合、破裂・発火する危険性を秘めており、今回のB787での一連の発火不具合に於いても電池単体の問題と言うよりも、使い方(制御)面で何らかの不味さが有る可能性が有ります。

何れにしてもANAがローンチ・カスタマーとなり、社運をかけてボーイング社と開発した画期的な次世代低燃費機だけに、電気系統などを中心に早急な設計見直しが必要となりそうです。

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 (Avanti Yasunori) 

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