三菱ミラージュのDNAは「パジェロやランエボ」ではなく「ゼロ戦」にあり!?

三菱ミラージュが、小粋でコンパクトなシルエットをまとって10数年ぶりに復活!リッターカーにダウンサイジングした6代目は、グローバル・コンパクトカーと使命を帯びてデビューを果たしました。全く新たな大プロジェクトに対して、開発陣は「ゼロ戦」まで遡る熱い開発スピリットで挑戦したのです。

■開発すべき新型コンパクトカーは「パジェロでもランエボでもない!」

新型ミラージュは、リーマンショック直後に開発がスタートしました。求められるのは、一にも二にも環境性能!開発責任者の佐藤PMは「これはパジェロでもランエボでもデリカD:5でもない!」と宣言して、三菱のアイデンティティであるヘビーデューティやハイテク、ハイパワーをあえて封印!先進国でも後進国でも通用する「普遍的な価値、リーズナブルな価格や燃費を追求するコンパクトカー」を、開発コンセプトに掲げました。

■新型ミラージュに宿るのは「三菱・ゼロ戦」の開発スピリット!

開発では、ボディ形状もパワーユニットも一種類に限定し、徹底的に無駄を削ぎ落としていきました。そして軽量化と剛性の両立、空力や小回りなどの運転のしやすさを最大限追求。遂には新技術や新素材にも頼ることなく、800kg台の軽量化とHV車を凌駕する低燃費27.2km/lを達成したのです。その開発プロセスは、かつて軽量&効率設計を徹底して誕生した名機「三菱・ゼロ戦」の開発スピリットが、ミラージュに宿ったかのようでした。

■タイ生産の帰国子女、ライバルの日産マーチには負けません!

開発体制でも新しいチャレンジがありました。商品企画や設計開発、生産や購買に至るまで、全社横断大プロジェクトの本部体制が組まれたのです。更に世界戦略車に相応しく、生産拠点も国内からタイに移管されました。これは日産がマーチで先行した手法ですが、実は三菱は長年タイでピックアップのトライトン等を生産してきた実績があり、生産技術では一日の長があったのです。「マーチには負けませんヨ!」って聞こえてきそうです。

第二次大戦で卓越した旋回性能を誇った「ゼロ戦」は、物資も技術も不足する極限状態から誕生したと聞き及んでいます。ミラージュの開発陣が「ゼロ戦」を思い起こすのは、極めて限られたリソースの中で、開発をやり切ったという達成感の表れだと感じました。

■三菱ミラージュ
http://www.mitsubishi-motors.co.jp/mirage/

(拓波幸としひろ)