2013年1月より超小型モビリティの新規格が発進します!

2011年の東京モーターショーで、タンデム2シーター(縦置き2座)の小型モビリティに対する提案が各メーカーから出ていた頃から話題になっていて小型モビリティへの動きが本格化しています。

最近では、ホンダから「マイクロコミュータープロトタイプ」が発表されたり、日産が「ニューモビリティコンセプト」を社会実験としての一般貸出をはじめたりと、活発化が見られていましたが、ついに国土交通省が『超小型モビリティの認定制度の策定に係る意見募集』をはじめ、その資料として具体的な姿を示しました。すでに2012年6月に『超小型モビリティ導入に向けたガイドライン』が発表されていますが、その発展的なものといえます。

 

国土交通省の考える超小型モビリティの最低条件は次の通り。
① 長さ、幅及び高さがそれぞれ軽自動車の規格内のもの
② 乗車定員2人以下のもの又は運転者席及び2個の年少者用補助乗車装置を装備しているもの
③ 定格出力8キロワット以下(内燃機関の場合は 125cc 以下)のもの
④ 高速道路等を運行せず、地方公共団体等によって交通の安全と円滑が図られている場所において運行するもの

 

一例として挙げられているイラストは、各社の考える小型モビリティを合わせたようなものですが、従来の自動車同様の保安基準を求めるだけでなく、高速道路や60km/h超の道路を走行不可にすることで、安全基準などを自動車としては緩和しようということ。また全幅1300mm以下の場合は、内装の難燃性や灯火類、ブレーキなどに二輪の基準が適合されるということです。

当初は、ミニカー(原付四輪自転車)の発展形という見方もありましたが、現時点では軽自動車の小型版という位置づけ。そしてEV専用のカテゴリーではなく、エンジン車(125cc以下)も可能となっています。

乗車定員は大人2名ないし、大人1名+子ども2名ということで、通勤や通園、買い物といった近距離ユースをターゲットとしているよう。

なお、電気自動車の場合は定格出力8kW以下と規定されていますが、あくまで定格であって電気自動車のカタログに載っている最高出力とは別物だということには注意が必要です。ちなみに、電動スクーターの場合は原付扱いとするには定格0.6kWと規定されていますが、最高出力は3kW弱となっているモデルもあります。

4番目の条件については、自動車メーカーだけでは対応できない部分もありますが、 当初は利用エリアを制限しながら徐々に拡大していこうというものだと予想されます。また30km/h以下のエリア限定で使うとなれば、シートベルトなどの保安基準も緩和されるとのこと。

冒頭で紹介した、日産の社会実験も、そうした経験値を積むことが目的のひとつといえそうです。 

なお、今回の意見募集の締め切りは2012年12月21日ですが、新しいレギュレーションの施行予定は2013年1月。変更や調整はあるかもしれませんうが、現時点で超小型モビリティの姿はほぼ決まっているといえます。

気になるのは価格。たとえばホンダの原付二種 PCX(124cc単気筒・8.5kW)が299,250円であることを考えると、タイヤが4つに増えるといっても、その倍程度を期待したいものです。もちろん当初は、高めの価格になってしまうでしょうが、新しい規格が市場に受け入れられ、スケールアップしていけば、コストダウンやバリエーションの増加も期待できるというものです。

■関連リンク
国土交通省:超小型モビリティの認定制度の策定に係る意見募集について
(山本晋也)

 

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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