バブル時代と言えばクルマでのデートが定番でしたね。2人きりで豪勢なディナーを楽しんだ後に夜景を見に行ったり、休日にはドライブデートを楽しんだりと言った使い方が多く、クルマはデートに欠かせないアイテムとして、その車種も女の子ウケのいいクルマを購入するのが一種のステータスとされていた時代でした。
そんなバブル期の象徴とも言える定番デートカーを挙げてみました。
【3代目 ホンダ・プレリュード】
デートカーと言えば真っ先に思い浮かぶクルマが3代目ホンダプレリュード。2人きりの時間を最優先するデートカーは2ドアと言うのが定番であり、その中でもリトラクタブルライトを備えた3代目プレリュードは見た目も女子のハートをがっちり掴んでいました。
クルマとしても走りの完成度は高く、量産乗用車初の4WS機構はCMでも大々的に宣伝され、車庫入れが苦手な男子でも小回りの利くプレリュードはスマートに駐車できる事で、運転の上手い男子というイメージを与えるアイテムとしても活用されました。
【5代目 日産・シルビア】
最近ではFRのツインカムターボ車として、ドリ車といった走り屋さん御用達グルマのイメージが強いS13シルビアですが、登場時はポストプレリュードとして、デートカーの代表的存在でした。
日産も発売時はデートカーとして位置づけており、当時としては近未来的なデザインは女性雑誌などで、助手席に乗りたいクルマナンバーワンの座を獲得する事もしばしばありました。
ドリ車ベースとして中古市場を探すと、ドノーマルのAT車やNAモデルが意外と存在したのもデートカーとしての名残りでしたが、その貴重なオリジナル状態のS13シルビアもMTに換装されたり、ターボエンジンにスワップされたりと市場のほとんどのモデルが走り屋さん仕様になって行きました。
プレリュードの後釜となったS13シルビアも4WS機構のHiCAS Ⅱを搭載していましたが、こちらはコーナリング性能向上アイテム。オプションで用意されたフロントウィンドゥに速度を表示する事の出来るヘッドアップディスプレイ等は、当時の最新技術であり、フロントウィンドゥごしに見える夜景とデジタル表示の速度計にうっとりした女子も多かったようです。
【初代 トヨタ・カリーナED】
FFとなったの流面形セリカのシャシーをベースに作られた、トヨタ初のピラーレス4ドアハードトップ。それまでカリーナと言えば、4ドアセダンの地味なオジサングルマとして見られていましたが、ED(Exciting Dressy)と言う車名通り、4ドアでありながらその流麗なスタイリングは数少ない4ドアデートカーとして女子にも人気のクルマでした。
現代の4ドアセダンなどでは考えられない室内空間の狭さでしたが、そのタイト感がまた、スポーツカーのような感覚でいられる事もあり、デートにはうってつけのクルマとされていました。
また、気になる女の子をゲットする前にグループで出かけたりWデートに使えたりと、意外と2人きりのデート前から活用できる事も人気の秘訣であり、4ドアのトヨタ車という大義名分で、家族共用のクルマとして親に新車で買ってもらう学生もいたようです。
【5代目 トヨタ・カローラ レビン】
当時人気絶頂の2代目ソアラのデザインを取り入れた5代目レビンは、ソアラに手の届かない学生などに人気のモデルで、S13シルビアと人気を2分するデートカーでした。
ラインナップにはスーパーチャージャーを搭載したGT-Zが存在しましたが、MTモデルしかないGT-ZよりATの選択も出来るGT-APEXの方が人気が高かったのもデートカーの証と言えそうです。
それまでトヨタの高級車を中心に装備されていた電子制御サスペンションTEMSがGT-APEXに標準装備され、自慢げに機構を説明する男子は、メカに強いイメージを与える材料としても活用していたとか。
【初代 三菱・パジェロ】
バブル期の後半には空前のクロカンブームが到来しますが、その火付け役ともなったのが初代パジェロ。中でもショートボディのパジェロはアウトドアスポーツ等を楽しむたくましい男のイメージを植え付けるにはもってこいの存在でした。
本格的なオフロード性能を備えるパジェロでしたが、バブル期には都心部を走るパジェロが多く見られ、中には4駆に切り替えた事が無く、咄嗟の大雪でも切り替え方がわからず威力を発揮できなかった残念な男子も少なからずいたようです。
デートカーとしては車高の高いパジェロの助手席に女の子を乗せる際に、手を差し伸べていち早く手を握る事が出来ると言った理由でパジェロを買う男子もいたと言う話を聞いた事があります。
パジェロもカリーナEDのようにショートボディでも後席にしっかり大人2人を乗せる事ができるので、ロングドライブのWデートなどで大活躍し、しっかり機構を使いこなしている男子はスキーやキャンプに憧れの女の子を誘うアイテムとして活用している人も多かったようです。
バブル期のデートカーを振り返ると、ある程度の居住性を確保しているクルマもありますが、大多数は2ドアで4人乗りというクルマが多く、現代のように居住性一辺倒のミニバンはデートカーとしては成り立たなかったように思えます。
当時はクルマに求められていた物は、居住性や快適性よりもデザインや雰囲気を重視していた事が伺えます。
環境問題や高齢化問題でエコカーや多人数乗車のミニバンが売れ続けている現代に、バブル期にヒットしたデザイン重視のクルマが女子からも求められていないのはクルマ好きとしてはちょっと寂しい気もしますね。
(井元 貴幸)