「新型レクサス LSがビッグマイナーチェンジで大幅に進化 !」でお伝えしたとおり、新型LSのヘッドランプにはAHS(アダプティブ・ハイビーム・システム)が搭載されています。
これは夜間にハイビームで走行する頻度を増やすことで、遠方視認性を向上させるのが狙い。今回はその具体的な仕組みに触れてみたいと思います。その前に少し予備知識から。
トヨタは1996年に発売した8代目マークⅡのツアラーにそれまでのハロゲンヘッドランプに代わる高光度なディスチャージ・ヘッドランプ(HID)を初搭載。
続く1997年に発売した2代目アリストや10代目クラウンにディスチャージ・ヘッドランプを搭載した際、発進時の車体ノーズアップによる対向車への幻惑を防止する為、光軸上下自動制御装置「オートレべリング・システム」を併せて開発。
車体の前後の傾きをセンシングして常に光軸を一定角度に保つ装置で、現在でも多くの上級モデルに搭載されています。
次いで2003年に登場したのが配光可変型のインテリジェントAFS(アダプティブ・フロントライティング・システム)。これはステアリング角度と車速に応じて光軸を車両の旋回方向(左右)に動かして交差点やカーブでの視認性を向上させる機構でハリヤーを皮切りにクラウンやLSにも順次搭載されました。
2007年にはLED式ヘッドランプをLSに搭載。2008年にはAHB(オートマチック・ハイ・ビーム)を開発、そして2012年、本題のAHS(アダプティブ・ハイビーム・システム)をLSのビッグ・マイナーチェンジに合わせて搭載。
これは先行車のテールランプや対向車のヘッドランプをインナーミラーの前に設置した光検知用カメラで認識し、先行車や対向車に直接ハイビームを当てないようにする機構です。
(ランプ本体は小糸製作所製)
このAHS技術を紹介した動画をまず御覧ください。(前半がAHB、後半がAHSの紹介です)
ハイビームの照射範囲内に車両を検知すると、前述の「インテリジェントAFS」の機能を利用して光軸の方向を最適に変えながら遮光シェードを制御し、先行車や対向車に直接ハイビームを当てないように部分的に遮光する仕組みです。
遮光範囲は検知した車両の走行に合わせて自動調整されるため、検知車両のドライバーに眩感を与えることはありません。
つまり、従来のロービーム中心の走行に対してより安全なハイビーム中心の走行を可能にした画期的な配光制御システムと言えます。これにより、廻りの車両に迷惑をかけることなく遠方が見通せることで、障害物をいち早く発見することが可能となる訳です。
このように自動車のヘッドランプは走行時の安全性向上に向けてより明るく、より広域に、そしてより遠くまで見通せるように時代と共に進化を続けているのです。
■ レクサス LS 公式HP
http://lexus.jp/models/ls/index.html
■レクサスLS AHSシステム
http://lexus.jp/models/ls/safety/advanced_active_safety/index.html
■小糸製作所公式HP
http://www.koito.co.jp/h_index.html