1ドル=70円台など、長引く超円高で国内自動車メーカー各社は利益が圧迫され続けており、各社が「国内雇用を守る為には円高対策が急務」として幾度となく非常事態宣言を発して来ましたが、それに呼応する動きが一向に見られないのが永田町の実情。
いつまでも円高が長引くと、輸出における為替差損が膨らんで価格競争力を失う為、生産拠点を国内から海外へシフトして「地産地消」化に踏み切らざるを得ない状況が続いています。
我慢していたトヨタも遂に「もはや限界を超えた」として年内に国内生産を段階的に削減する方針を打ち出しました。遅々として進まない対応を指を咥えて待っている訳には行かない為で、当然の処置と言えるでしょう。
9月26日にトヨタが発表した8月の世界総生産69.3万台の内訳を見ると、国内生産が26.2万台、海外生産が43.1万台となっており、既に海外生産の比率は「62%」を超えています。かつて海外生産比率が53%台だったことを思えば、ここ数年で9%ほどシフトしたことになります。
では「マーチ」の海外(タイ)生産移行で話題になった日産の場合はどうでしょうか?
上グラフのとおり、8月の世界生産38.7万台のうち、海外生産が29.9万台で海外生産比率が実に「77%」にまで達しており、国内生産は残りの「23%(8.8万台)」に過ぎません。
ちなみに同社の海外生産比率は2008年秋に発生したリーマンショック以降の円高に伴って、それまでの60%台から70%超えへと急激に推移しているのが判ります。
その主な販売先は下のグラフのとおり、北米(12.4万台)を筆頭に中国(9.5万台)、その他(7.7万台)、欧州(4.2万台)、日本(4.2万台)と続きます。有る意味、「地産地消」化がかなり進んでいるとも言えます。
一方、対照的なのが先日ご紹介したMAZDAとスバルで、前者の場合は世界生産9.9万台のうち、海外生産が3.3万台で海外生産比率が「33%」、後者も同様で世界生産5.6万台のうち、海外生産が1.9万台で海外生産比率が「34%」とよく似た状態となっています。
グラフの見た目も両社で似ており、冒頭の日産との違いは一目瞭然。円高の状態ではかなり厳しい舵取りが求められそうです。
こうした超円高の状況では固有技術が海外流出して空洞化が進むばかりでなく、将来に向けたノウハウ蓄積や日本国内の雇用への影響が増大するに違いありません。
次回はホンダのケースをご紹介したいと思います。
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