売れまくっているアクア。今さらながらタイムレンタルで乗ってきた!その2

売れまくっているトヨタのアクア。乗った感想はすでに書かせていただいていますので(記事はこちら)、こちらでは内装のチェックをしていきましょう。

乗っていきなり驚いたのが、ステアリングホイール。いわゆるハンドルですが、これ偏芯ステアリングなんですよ。ステアリングを正面にした場合、ステアリングの中心から上よりも下のほうが直径が短い。F1かよ!というようなステアリングになっているのです。

このステアリングのおかげで、ステアリングに足が引っかかることなくスムーズに乗り降りできるのですよ。スポーツ系のサードパーティーに多いタイプのステアリングのカタチですが、こういう使い方もあったのか?と目からうろこの気持ちです。

ドアは、小さい車でも窮屈な感じが出ないように巧みにえぐりを入れて、運転の邪魔にならないように工夫されています。そんなドアなのに500mlペットボトルが入るホルダーが装備されているあたりが、いかにもトヨタのオモテナシ精神ですね。

シートはヴィッツに比べると格段にいい気がするのですが。フロントシートは、肩の辺りの収まりがよく、大き目のヘッドレストも姿勢を保つのにかなり有効。腰や腿のサポートは相変わらず弱いのですが、頻繁に乗り降りをする日本の用途を考えると、これは仕方ないことなのでしょうか。リアシートは2人で乗るには腰の収まりも悪くない。

アクアはFFしか作る気がないのが丸わかりの完全フラットなフロア形状ですが、このおかげでリアシートの足の収まりがけっこういいのです。見た目以上にゆとりがありますね。

ラゲッジルームが真っ平らで使いやすい。そして外見から想像すると完全に裏切られる奥行きがあります。67cmクラスのスーツケースは余裕で3つ入りそう。一部におなじみの筆者的ラゲッジ評価でいくと、B5の同人誌2000冊と70cmクラスの台車入れて4人乗れます。コミケでお誕生日席のサークルだったら売り子3人と同人誌、それに出展に必要なグッズ類を乗せてもこれ一台で搬入できますね。

もう一度運転席に戻ってみましょう。

アクアはプリウスに比べるとかなりシンプルなインパネ。エコを押し付けるような妙な表示が少ないのが好印象。

アクアは総じてエコを押し付けません。エコが当たり前になっている時代のハイブリッドと言えますね。
プリウスはエコが最先端だったころのハイブリッドだといえますから、今でもエコの最先端を走らなくてはいけません。だからこそプラグインハイブリッドなどもラインナップしなくてはいけないのです。

そこへいくとアクアはすでにエコの意識が浸透してエコが最先端ではない時代に生まれてきたクルマですから、無駄にエコを主張していないのです。

インパネの表示以外にそこが端的にわかる部分があるのです。

それはシフトレバー。よく見慣れた、直感で操作しやすいタイプです。こういった良く使う部分は昔ながらの操作系のほうが受け入れやすいのです。

こちらはプリウスG’Zのシフトレバー。最先端を背負わされているから新しい操作系を提案していますが、じつはパッと見でどう動かすのかがよくわからない。

こうやってシフトレバーだけを見てみてもアクアとプリウスではコンセプトが大きく違います。プリウスがあれだけ売れているにもかかわらず、アクアが大人気の理由は金額やサイズだけではなく、エコが当たり前の時代に合ったクルマ作りのコンセプト、もっとわかりやすく言うとエコ臭くないハイブリッドだから、といえるのではないでしょうか。

納期が長いからという理由だけでアクアを躊躇している方がいらっしゃれば、筆者は注文したほうがいいと背中を押すでしょう。思ったほど燃費がよくないとか、いろいろな噂が飛び交ってはいますが、2012年の5月後半現在で一番お勧めできるトヨタのハイブリッドであることだけは間違いありません。

ただ、タイヤとホイールは換えたいなぁ。このホイールキャップはちょっといただけない。ホイールキャップをはずすだけでもずいぶんカッコよりなりますけどね。

(北森涼介)

この記事の著者

松永 和浩 近影

松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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