4月25日の開幕から8日間で入場者数が80万人に達した北京モーターショーが2日に閉幕しました。
海外の大手自動車メーカーが中国市場を重要視していることもあり、上海モーターショー2011に続いて今年もVWファミリー(アウディ、ランボルギーニ)などからのワールドプレミアが相次ぎました。
そしてもう一つ見逃せないのが、ご当地名物の「ソックリカー」が激減したことです。
今までのような欧米や日本の人気車を露骨に模したクルマはすっかり姿を潜め、代わってオリジナル性を打ち出したクルマまでもが姿を見せ始めています。
上の画像は中国メーカーで販売台数第4位のCHANGAN(長安汽車)が出展した「RAETON」。
車両サイズは全長:4920㎜、全幅:1825㎜、全高:1500㎜、ホイールベース:2800㎜で、ちょうど、トヨタの「カムリ」を100㎜ほど長くしたようなミッドサイズのサルーン。
Cピラーやテールランプには未だ日本車(レクサス風)の香りが漂ってはいますが、全体的に目立つデザイン破綻もなく無難な纏まりを見せる一台です。
仕様面でも流行のHIDヘッドランプ、LED式DRLを採用、インテリアではマルチファンクション・ステアリングホイールや左右独立デュアルエアコン、大型モニター、キーレス・イグニッション・システム、電子パーキングブレーキなどをフル装備。
「肝」となるブレーキ廻りや電子制御技術は、米TRWや独BOSCHなど欧米大手メーカーの最新パーツを採用しているようで、リヤサスも操安性に配慮してマルチリンク式となっています。
一方、環境対応や低燃費化で中国の自動車メーカーが目を付けているのが、「EV」だけでなく、VWが先行してBMWも追従している「過給化によるエンジンのダウンサイジング」で、5年以内には大部分の中国製乗用車が導入する見通しと言います。
これは日本のエコカーで普及しているHVシステムが構造や制御面で複雑過ぎて真似ができないことと、結果的にコスト高となってしまうのがその最大の理由とか。
デザイン面では韓国の自動車メーカー同様、他国の腕利きカーデザイナーをヘッドハンティングしてそのレベルを一気に引き上げて来ている模様。
もし長安汽車製「RAETON」が今時の日本車のエクステリアと比べてさほど違和感が無いように見えるとしたら、これはかなりヤバいかもしれません。
このように最新の中国車(韓国車も)を通して見えてくるのは、僅か数年の間に急速に日本車に追い付き、すでに「親離れ」が進行している点で、それを受けて日本の自動車メーカーは技術面での先進性を保ちつつも、車両デザインの洗練度を数段引き上げる必要性に迫られているように見えます。
■CHANGAN(長安汽車)
http://www.changan.com.cn/index.do
■RAETON
http://www.changan.com.cn/focus.do?action=detail&type=1&id=201204230716493000&m=3
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