新型トヨタアクアは、ハイブリッドでは末っ子のコンパクトハッチとして登場しました。先んじてコンパクトハッチのハイブリッド市場を開拓した「ホンダ・フィットハイブリッド」に対して、真っ向勝負を挑んできた訳ですね。
「先行するライバルと大きい市場が存在すると、トヨタは無類の強さを発揮する!」というのは、長年の経験則であります。(・o・)ゞ
実際、バッテリー容量の小さいフィットが圧倒的な「ユーティリティ」で追随を許さないなら、アクアはプリウスのハイブリッドシステムに磨きをかけて、燃費勝負を仕掛けてきました。何しろ10.15モードで40km/lと、フィットハイブリッドの3割増ですからハンパなレベルではありません。
またハイブリッド車は容量のかさばるバッテリー類を搭載するため、どうしても車内空間や重量バランスに無理が生じます。
その点アクアは、先代プリウスの1500ccハイブリッドユニットを踏襲して小型軽量化をはかり、後席下にバッテリーユニットを搭載して走りの重量バランスと居住性の両立を図ってきました。
熊倉さんのインプレッションでは、次のように解説されています。
室内高を稼ぎながら、空力性能を追求した結果生まれたトライアングルシルエットを採用。後席に座ると、その外見から想像する以上にヘッドクリアランスに余裕があることに驚かされる。
燃費を優先しつつも、コーナリングでも乗員に不安を抱かせない安定した走りを披露するアクア。回生ブレーキのフィールも自然で、一台の実用車としての完成度は極めて高い。
40km/l(10.15モード)という、プリウスをも凌ぐ低燃費にまずは圧倒されてしまうが、アクアの本質はそれだけにとどまらない。高い居住性能や走行性能など実用車として欠かせない要素も網羅し、なおかつリーズナブルなプライスを実現している万能性に、脱帽させられてしまうのだ。
これからのハイブリッドカーの主役たる資格、十分である。
このところハイブリッドカーも、プリウスの「超・低燃費のスペシャルカー」から、カムリのような「超・低燃費ながら、HV専用ではない」車種が登場してきました。
そしていよいよアクアでは「超・低燃費に、走りや居住性をバランスさせたクルマ」造りが実践された訳ですから、ハイブリッドも着実に進化し続けているのですね。
全方位で磨きをかけてきたアクアは、どうやら今年の自動車販売ナンバー1の最有力候補といえそうです。
(拓波幸としひろ)