80年代のコンパクトカーは、コンセプトもデザインもメカも多種多様で、個性派揃いの選り取り見取り状態でしたね!
まず筆頭は、ホンダシティでしょう。普通車では初めて、トールボーイデザインを提案してきました。開発スタッフは、平均年齢28才だったと記憶しています。CVCCエンジンには、燃費仕様やターボ仕様を設定、ボディも標準からブルドッグ、オープンまでいろいろありました。同時開発の原付、モトコンポにも憧れました!
実は、自分がクルマの開発プロセスやデザイン、メカ、マーケティングに入れ込むようになったのは、まさにシティがキッカケだったんです。
m(_ _)mかつての愛車に感謝
ホンダでは、ワンダーシビックがまたキレまくっていましたね。特に3ドアハッチバックは、シャープな面にリアをストンと切り落とした斬新なデザインでした。まるでサナギから蝶に脱皮するかのような、別次元の進化を感じたものです。エンジンもCVCCを卒業したワンカムマルチバルブで、後に待望のDOHCエンジンを登載したSiが加わりました。
一方同クラスのハッチバックでは、マツダの赤のファミリアXG・サンルーフが、女の子に大人気でした。フルフラットシートも斬新で、サーファー御用達みたいになっていましたよね。ターボやカブリオレもラインナップされたファミリアは、マツダの経営危機を救った救世主でもありました。
街の遊撃手こと、いすゞジェミニも忘れられません。あのCMのツインドリフトやカーダンスはお見事でした。ターボのイルムシャーにハンドリングbyロータス、ディーゼルターボなど、仕様も個性的で多彩でした。
初代マーチも「フィアットウノの兄弟か?」なんて言われていましたが、欧州風のデザインが新鮮でした。またモデル後期には、リッターカーながらスーパーチャージャーとターボをW搭載して、パワーと燃費を両立していました。
ちなみに他にも、カッ飛びスターレットや縦置きFFのターコルⅡ(ターセル・コルサ・カローラⅡ)、ミラノ風パルサーがあるのですから、まさにこのジャンルは選び放題でした。
最近では、若者のクルマ離れが言われて久しいですね。80年代のコンパクトカーの圧倒的な多様性を振り返ると、この世代の若者がどれだけ恵まれていたか、あらためて実感した次第です。
(拓波幸としひろ)