本題に入る前にちょっとだけ“ヘッドランプの歴史”をおさらいしてみましょう。
その昔、ヘッドライトは白熱球でしたよね。街灯がほとんどないうえ、現代のように街を彩るネオンやコンビニもなかったので、「夜の雨降り」は真っ暗で視界が悪くとても危険なシチュエーションでした(しかも、未舗装路が多い時代ですから)。
70年代に入ると、明るいハロゲンランプが登場し、人々は「これぞ大発明!!」と狂喜乱舞しました。これまで使っていた白熱球が突然黄色っぽく見えてきて、「白いハロゲンこそ成功の証」みたいな感じでしたよね。
しかし、人間とは欲深〜いもの(?)です。……というか、テクノロジーの進化は止まりませんでした。
80年代には、魚の目みたいなレンズが特徴的なプロジェクターランプが登場。レンズカットで照射エリアへの光を分散していた従来型ライトとは違い、レンズで強力に照射することで、光と影の部分がハッキリと分かれていたのが特徴でした。ただ、その部分がピッチングで揺れるため「酔った気分になる」という人もいました。それほど明暗が強かったんですね。
2000年代に入ると、いよいよHIDの登場です。このライトを初めて点灯したときの独特の青白い光はカッコ良くて、かなりステータスを感じますよね。そして、まだまだ少数派ではありますが、省エネルギーのLEDライトが登場し、HIDの進化とともにさらなる普及が期待されています。
で、フランスのヴァレオ社が凄いヘッドランプシステムを開発しました!!
このシステム、BeamAtic Premium(ビーマティックプレミアム)と名付けられ、なんとハイビームを点灯したまま走れる画期的なものなんです。
上の作動イメージを見ても分かるように、対向車や先行車を検知・追跡することでその部分の光を遮ってくれるのです。また、坂道の「登り」「下り」でも光軸の高さをスムーズに調整してくれます。
さらにAFS(Adaptive Front-Lighting System)という機能も備わり、ステアリング操作に連動して左右の配光を抑制する「コーナリングモード」、雨を感知することで濡れた路面に反射する光を防ぐ「レインモード」もあります。うわぁ、凄すぎ!!!!!!!
この仕組みは、車載カメラの映像を画像処理ソフトで分析して、可動式シールドで照射を遮るものなんです。日本では市光工業が取り扱いをスタートし、ヴァレオ社への技術サポートを提供してますよ(この二社は、2000年に自動車ランプ事業で資本・業務提携)。
ところで、交通量の多い都市部では影ばかりになっちゃいそうですが、実際のところどうなんでしょうか?
まるでコンビュータ業界のように目まぐるしく新技術が投入されているヘッドランプですが、どんな光で未来の道を照らしてくれるのか、なんか夢が広がります。
クラシックカーの時代、オイルランプの光で前方を照らしていたのがウソのようですよね。
(南風よしお clicccar編集部)