プリウスαに隠されたデザイン・マジックを暴く!

トヨタが『プリウスα』の受注台数が発売から約1か月で52,000台に達したと発表したそうです。月間販売計画台数が3000台なので、発売1か月で17倍以上を受注したことに。

2列シート車と3列シート車の内訳は2列シート車が38,000台、3列シート車が14000台と2列シート車が7割以上を占めているとか。

以前にも触れたとおり、実は業界内でもデザインが良いと評判のプリウスαですが、その影にはジャンルはあくまでワゴンながら普通のワゴンに見せない工夫が 幾つか隠されています。今回はそのマジックの数々を暴いてみましょう。

ポイントは後部デザインにある事は言うまでもありませんが、まずはルーフ後端形状から。
下画像の①のように、ルーフ高さが2段構えになっています。 これはルーフを低く見せる技。

ルーフが後方へ行くに従って下がっているように見せるレリーフを一本追加する事でワゴンらしさを見事に打ち消しています。つまり、視線をレリーフの方へ誘導するマジック。 これにより、ルーフは一見低く見え、且つ積載容量(高さ)確保が可能に。

次に②のリアランプ意匠。 スタイリッシュなイメージを演出する為に、Cピラー幅をできるだけ細く見せるべく、切り上げたサイドウインドウ下辺に平行っぽくなるようにランプ線を走らせています。通常のワゴンでは見られない赤で塗り潰した部分をランプ側で構成する事で無駄な鉄板面が隠せる為、Cピラーの鈍重感を払拭できるというマジックです。

これら①、②のマジックを駆使して巧みに通常のワゴン臭を排除しているという訳です。

余談ですが、①の2段構えの デザイン手法のルーツは実は10年前のBMWに由来しています。部位は違いますが、発想は全く同じ。 トヨタ車も多々取り入れた2段構えのトランク・リッドがそれ。

要はサイドのベルトラインは低くみせつつ、トランク容量(高さ)を確保する手法。 これを元に発想したのが現行のマーチです。 ルーフ後端に採用して後席乗員のヘッドクリアランスを稼いでいます。

そして更にそれを取り込んだのがプリウスαという訳です。
このようにデザインは天下の回り物・・・

以上、プリウスαのデザインがワゴンっぽく見えない理由がご理解頂けたでしょうか?

こちらも併せてお読み下さい。 【開発担当エンジニアが自ら語るプリウスαの「売り」とは?】https://clicccar.com/2011/05/27/28037

 (Avanti Yasunori )

【画像がすべて見られない方は】   https://clicccar.com/33756

この記事の著者

Avanti Yasunori 近影

Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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