しなやかな足が自慢です。【スバル・インプレッサWRX STIグループR4マシンのすべて】

FIA(国際自動車連盟)のグループR4規定では、グループNマシンをベースにサスペンションの改良も認められています。特にサスペンションストロークやレバー比が市販車のままではどうしても路面追従性に限界があり、これがキットカーであるS2000と差が生まれる原因のひとつになっていました。

そこでインプレッサ・グループR4キットではサスペンションが大幅に改良されて路面追従性が向上しました。

ではそのキットを紹介しましょう。

まずはフロントクロスメンバー。フロントのロワアームを支持するメンバーですね。写真は上下逆さまになっています。

クロスメンバとロワアームの取り付け穴が長穴になっていて、スペーサーをで±10mmで調整できるようにしてあります。これによってロールセンターの高さを±30mm変更することができるようになりました。

このロールセンターの高さ調整は、ターマック仕様とグラベル仕様の車高の変化に対してロールセンターを一定にさせるためのものです。

フロントロワアームは市販車のゴムブッシュに変わってピロボールブッシュのキットに交換されています。

フロントダンパーのアッパーマウントは20mm高くなり、サスペンションのストローク量が増やされました。これは路面追従性の向上に寄与しています。

4.51kg軽量化されたリアサブフレームはパイプフレーム構造。

リアサブフレームはリンク取り付けの穴はハイ、ローの2箇所設定。これでフロント同様ターマックセッティングとグラベルセッティングで車高が変わっても同じロールセンターを維持することが可能になっています。

また市販車よりもダンパーの取り付け位置を外に出して、レバー比を1.2から1.06に変更して効率よく減衰とバネが効くようにして、24〜25%ぐらいバネレートを下げることが可能になりました。

リアのラテラルリンクもピロボールが多用されています。これのよってリアサブフレームの横Gに対する変位量は市販車のゴムブッシュを廃止したことも合わせて1/10以下となったそうです。

さらにリアダンパーのアッパーマウントは40mm上げてあり、ストローク量も市販車より20mm増えた510mmになりました。

軽量化や冷却性能向上、そしてサスペンションの改良が施されたインプレッサG4マシンですが、テスト結果では1km当たりのタイムはグループNよりも0.73秒短縮したものの、目標の1秒にはまだ届いていないそうです。またS2000マシン(WRCを想定した参考データ)に対してはまだ0.57秒の遅れをとっているのが現状ですが、今後の熟成によって、さらにタイムアップを図っていくものと思われます。

何はともあれ今年のインプレッサの活躍、新井選手の活躍に期待しましょう。

(ぬまっち)

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この記事の著者

ぬまっち(松沼 猛) 近影

ぬまっち(松沼 猛)

1968年生まれ1993~2013年まで三栄書房に在籍し、自動車誌、二輪誌、モータースポーツ誌、鉄道誌に関わる。2013年に独立。現在は編集プロダクション、ATCの代表取締役。子ども向け鉄道誌鉄おも!の編集長を務める傍ら、自動車誌、バイク誌、鉄道誌、WEB媒体に寄稿している。
過去に編集長を務めた雑誌はレーシングオン、WRCプラス、No.1カーガイド、鉄道のテクノロジー、レイル・マガジン。4駆ターボをこよなく愛し、ランエボII、ランエボVを乗り継いで、現在はBL5レガシィB4 GTスペックB(走行18万km!)で各地に出没しています。
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