【RZ編】トヨタGRスープラ動画インプレ/渡辺敏史「パワーオーバーに持っていける雰囲気はRZの真骨頂!」

■19インチの大径タイヤながら普段乗りできる乗り心地も美点

「今日は話題のGRスープラを、公道で初めて試乗させていただくこととなりました。

皆さんもご存知かもしれませんが、このクルマはBMWとの共同開発です。企画とデザインはトヨタ、設計開発はBMWが行なったという話になっています。

でも、トヨタの側でも相当な走り込みを行なって、チューニングはZ4とは相当違うものになっているという触れ込みなので、その辺が公道でどんなフィーリングで受け止められるか、試してみたいと思います」

「こちらのグレードはRZとなります。直6を積んだ一番いいグレードです。その分車重は(4気筒の)SZと比べると110kgほど重い、1520kgとそれなりにありますし、タイヤも19インチと一番大きい径を履いています。しかし、こういうアンジュレーションの大きい場所でも、それなりにキレイに乗り心地が出ているので、普段乗りにもいい感じです」

「頭も重いから、SZやSZ-Rはもっと頭が良く入る感じはあります。が、回頭性は十分で、6気筒を積んでいるクルマとしては相当な軽さがありますね」

●アクティブディファレンシャルがスタビリティの高さに貢献

「こうした下りでフロント荷重がパッとかかる状況において、ブレーキングですごく感じるのは、そのスタビリティの高さです。後ろを落ち着かせるために、デフ(アクティブディファレンシャル)がすごく上手く役割を果たしているんだなぁ、という気がします。

このデフは、反面、まっすぐ走っているときや普通にコーナーを曲がっているときはお尻が振れすぎる感がなきにしもあらず、です。こういうところでちょっと曲げていくと、スッとノーズは入るんだけど、たまにヒュッとお尻が出ていくタイミングが早いかな、というときが正直あります。スタビリティの面では、このデフの仕事はバカにならないんだろうな、と思います」

「これ以上ロングノーズになってしまうと、見た目は好きな人にはたまらなくなっていくとが思いますが、ノーズと自分の位置との関係が、ちょっと間合いが開くというか、一拍置く感じになるというか、頭から少し遅れて体が動いていくという雰囲気になってしまう。このパッケージは直6でありながらそれがない、ギリギリのいいサイズに収めているんですね。やっぱりパッケージがこのクルマの一つの肝なんだろうなと思います」

●エンターテインメント性は3グレード中でRZが随一!

「このくらいタイトな、日本の峠道みたいなところでは、SZ-Rの方が正直バランスよく振り回せる感はあるんだろうなと思います。でも、やっぱりこの気持ち良さとか、パッと踏んだ時にお尻をククッて操れるパワーオーバーに持っていける雰囲気は、このRZの真骨頂なんですよね。
ですから、RZは意外とエンターテインメント向きのクルマなんじゃないかなと個人的には思います。本当に走りをきっちり追求したい人には、SZ-Rの試乗もしてみることをお勧めします」

【主要諸元】
トヨタ スープラRZ

全長/全幅/全高(mm):4380/1865/1290
ホイールベース(mm):2470
トレッド F/R(mm):1595/1590
最低地上高(mm):112
車両重量(kg):1520
エンジン:B58 直6 DOHC ツインスクロールターボチャージャー
排気量(cc):2997
最高出力(kW[ps]/rpm):250[340]/5000
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm):500[51.0]/1600-4500
トランスミッション:8速スポーツAT
WLTCモード燃費/市街地モード/郊外モード/高速道路モード(km/L):12.2/8.3/12.9/14.7
サスペンション F/R:マクファーソンストラット/マルチリンク
ブレーキ F:ベンチレーテッドディスク・4ポッドアルミモノコックキャリパー
ブレーキ R:ベンチレーテッドディスク・フローティングキャリパー
タイヤ F/R:255/35ZR19/275/35ZR19
価格:6,900,000円

(談 /渡辺敏史 写真/井上 誠 動画/藤原孝洋)