アジアクロスカントリーラリーにメカニックとして参加する学生たちの貴重な体験とは?

毎年8月にタイを起点とした東南アジア地域で開催されているアジアクロスカントリーラリーには、自動車整備の学校に通う学生が毎年メカニックとして参戦しています。

千葉県にある中央自動車大学校(CTS)では、2013年より「CTSステップアッププログラム」と称した授業の一環として学校で参戦マシンの製作を行い、選抜メンバーが現地に赴いてチームのメカニックとして選手らとともに過酷なラリーを戦っています。

初参加の2013年には、俳優の哀川翔さん率いるFLEX FEDERAL SHOW AIKAWA Racingのチームメカニックとして、マシン製作およびチームメカニックとしてタイ・パタヤからラオスに向かう2255kmを共に戦いました。

その後、様々なチームのマシンを担当し、2017年には日本の誇る世界的ラリースト・篠塚建次郎選手のチームメカニックを経験します。そして、今年2018年に開催されたタイ~カンボジアをルートとする第23回大会では、再び哀川翔さんのマシンを含む2台のラリーカーを担当しました。

学生たちの多くは卒業後、整備士として就職し活躍していくわけですが、長い時間をかけてマシン製作を行い、多くの人が携わり参戦にこぎつけたラリーが、たった1人のミスでリタイアに追い込まれる事もある責任の重さを感じながらの作業は、社会人になってもなかなか経験のできない意義深いものとなるでしょう。

また、マシン製作においては前年に使用したマシンをそのままの状態で学校に運び込み、その状態から翌年の参戦に向け製作を開始するそうです。アジアクロスカントリーラリーはマシンへの負担が大きい過酷なラリーですから、通常の使用では考えられないような部分が痛んでいたり、亀裂が入っていたりと、その検証作業で得られるものも通常の授業では経験しにくい貴重なものとなるようです。

そんな経験を積みながら、自分たちが組み上げたマシンがラリーの本番で毎日無事帰ってくる時の安堵感、そして現地で毎晩整備を続けながら送り出したマシンが完走した時の嬉しさは、とても大きなものだと学生たち皆が口にします。