【元は軽トラなのに普通貨物の「1ナンバー」】6代目サンバーはリフトアップにとても向いている!? 秘密はフレーム構造にあった

軽トラの6代目サンバーをベースに車高をなんと25cmアップして、普通貨物の1ナンバーを取得した驚きのリフトアップ車両を紹介します。


実は最近、軽トラをベースにリフトアップするというのは一つのブームのようになっていますが、今回改めてこのサンバーのリフトアップ車を紹介するのには理由があります。

6代目までのサンバーはリフトアップカスタムにとても向いている車両だからなんです。

6代目のスバル内製サンバー(現在販売中のモデルはダイハツからのOEM車)はフレームとボディが別体式のフルフレーム構造をとっているために、ボディだけをリフトアップさせることが可能なんです(現在販売中のダイハツ製サンバーはモノコック構造)。

通常リフトアップをする際には足回りを加工して車両全体を上方に大きく引き上げます。こうするとサスペンションアームやドライブシャフト等に負担がかかるため、ある一定の数値以上のリフトアップをする際にはかなり大規模な加工が必要(もしくは不可能)となってしまうことが多いのです。

また、足回りを加工してのリフトアップでは変更されたサスペンションのジオメトリー(各部位の位置関係や動きのこと)を補正する必要がありますが、サンバーでは足回りそのものに手を加えなくてもリフトアップが可能なので、走行安定性は維持したまま大胆なボディ上げが行えるのです。

それでは実際のサンバー・リフトアップカスタムのやり方を見てみましょう。車両を製作したワイズゲート/ハーディーズによれば、ボディとフレームを結合しているマウント部分にスペーサーをセットすることで車高を高めているとのこと。

ボディとフレーム部分が離れたことで長さが足りなくなるステアリングシャフトは、ワンオフ製作したロングなものに入れ替えることで対処しています。

今回紹介している車両のボディ部分のリフトアップ量は8インチ=約20cm。これに加えてタイヤ(ホイールとともにバギー用)の外径が大きくなっていることからさらに2インチ=5cmのアップ。

合計で10インチ=25cmのアップになっています。

ベースのサンバートラック・ハイルーフ仕様は全高約1.9Mですから、リフトアップによって2.1M以上の全高になっています。これは軽自動車の規格はもちろん、4ナンバーの小型貨物基準もオーバーしています。

このためなんと普通貨物自動車規格である1ナンバーが取得されているのでした(大径タイヤをクリアするために装着されたオーバーフェンダーによって全幅についても当然ながら軽自動車規格をオーバーしています)。つまりこのサンバー、軽トラではなく普通貨物の扱いなんですね。

実際に乗り込んでみます……と、簡単に言ってしまいましたが実は乗り込むのにひと苦労です。

ドアノブは非常に高い位置にありますので、腕を大きく上げて扉を開けます。すると自分の胸の高さあたりにシートの座面が見えるようになります。左手をシート座面に置き、右手でフロントウィンドウ脇にあるアシストグリップをしっかりとつかむ。足を大きく上げてフロア面に置いて、気合を入れて乗り込む必要があります。

着座して前方を見ると、まるで大型トラックのような高い位置からの視界に驚きます。

運転してみると(先ほど解説した通り)、無理にリフトアップしたことによる違和感が出ているようには感じません。もともとサンバー・トラックというのは軽トラらしからぬしっとりした乗り心地が自慢だったのですが、このリフトアップ車両でもそれは引き継がれている感触です。


聞けばこの車両、強烈な見た目にも関わらずなんとスプリング&ショックはノーマルのままだとのこと。記者が受けた柔らかな印象というのはやはり間違いではなかったようです。ここまで極端な見た目の車両がこんなに普通に運転できてしまうとは驚きでした。

ちなみにワイズゲート/ハーディーズではコンプリートカスタムのほか、車両持ち込みでのカスタムも請け負っています。このほかハーディーズでは4/6/8インチアップのキットも販売中です。今回の10インチアップのような大規模リフト量のものに関してはワンオフにて製作を受け付けています。


生産中止から相当の年月が経っている6代目サンバーは、その作りの良さから今でもスバルマニアに人気で中古価格は非常に高値です。このようにリフトアップにも向いているということが明らかになった今、その人気はさらに高まりそうな予感。

(写真・動画・文/ウナ丼)。

【関連リンク】

ワイズゲート
https://ameblo.jp/ysgate/

ハーディーズ
http://www.laism.com/

この記事の著者

ウナ丼 近影

ウナ丼

動画取材&編集、ライターをしています。車歴はシティ・ターボIIに始まり初代パンダ、ビートやキャトルに2CVなど。全部すげえ中古で大変な目に遭いました。現在はBMWの1シリーズ(F20)。
知人からは無難と言われますが当人は「乗って楽しいのに壊れないなんて!」と感嘆の日々。『STRUT/エンスーCARガイド』という名前の書籍出版社代表もしています。最近の刊行はサンバーやジムニー、S660関連など。
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