「サイドターンができるのはSTIだけ」なんていうマニアックな違いもありますが、「S4」と「WRX」の最大の違いはパワートレイン。「S4」はFA20型直噴ターボ+CVT、「STI」は伝統のEJ20型+6速MTとなっています。
トランスミッションだけ変えれば手っ取り早いし作るほうも楽だろうに、エンジンまで違うなんて大げさ!と思うのはきっとボクだけじゃないはず(まあ先代もMTとATでエンジンが違いましたけどね)。
そこには、走りにこだわるスバルらしい理由があるのです。
そのワケは、走りの味にこだわっているから。たとえばMTで乗るなら、どんなエンジンだったら運転がワクワクできると思いますか? 高回転までガンガンまわせて、回転を上げるほど盛り上がる鋭い特性、と多くの人は思うはず。そんな特性に相応しいのが、より高回転型のEJ20エンジンというわけです。
最高出力とその発生回転数を見ると、
日本仕様「S4」FA20 300ps/5600rpm
北米仕様「STI」EJ25 309ps/6000rpm
日本仕様「STI」EJ20 308ps/6400rpm
と、日本仕様「STI」は最も高回転型! アメリカのスビーも羨む鋭いエンジンを積んでいるというわけです。ワタクシ実際にサーキットを走って、その楽しさが半端ないことはしっかり確認しておきました。
もちろんもちろん、「STI」は競技ベース車としても使われるから、ノウハウもあり、熟成が進んで壊れにくいEJ型が最適という事情もありますが、競技ユースでない限りはやっぱりドライバビリティがポイントなわけです。
いっぽうの「S4」はどうしてDITなのか? その太いトルク特性が、CVTに適しているからです。「STI」のエンジンが422Nmの最大トルクを4400rpmで発生するのに対し、「S4」は400Nmをわずか2000rpmから4800rpmと幅広く生み出してくれる。その特性がCVTとのマッチングに優れるというわけです。
じゃあ「S4」は退屈なのか?
もちろんそんなことあるわけありません。「STI」ほど尖ってはいないけれど、サーキット走行だって涼しい顔してこなすスポーツマン。それでいて渋滞だって苦にならず、アイサイドのクルーズコントロール機能によるイージードライブだってできちゃう。そんな万能選手なのです、「S4」は。
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(工藤貴宏)