先日「上がり続けるガソリン価格! 再びレギュラー160円台に!」でガソリン価格上昇の実態や、依然大きな割合を占めるガソリン税等について触れました。
ガソリンは原油の輸入価格にシビアに連動している反面、為替が大きく円高側に振れても安くならずに価格上昇し続ける、有る意味「特殊な輸入品」。
根源となる原油価格は産油国の政情や為替変動だけで無く、投機家の投機対象になっている為に、価格上昇し続けると言われています。
※原油CIF(Cost, Insurance and Freight)価格
日本国内入着平均価格(税関を通った原油の運賃・保険料込み価格)
ガソリン価格は2008年のリーマンショック以降、5年間に渡って再び上昇し続けており、現在では160円/L台まで上昇。
そうした中、政府が公取委(公正取引委員会)を通じて国内のガソリン販売価格調査に乗り出しました。
調査対象は石油元売り8社、総合商社・エネルギー商社など11社、ガソリン販売業者3576社などで、書面調査や聞き取りを実施したようです。
そもそもガソリンは大きく分けて2つのルートで消費者の元に届けられており、1つはJX日鉱日石エネルギーなど大手石油元売り会社が系列販売店を通じて販売する正規ルートで、流通量の8割強を占めています。
もう1つは、正規ルートで販売しきれない余剰品を「業転玉」(業者間転売玉)として商社などに卸す独立販売ルート。
余剰品の流通が始まったのは約30年前に遡るものの、大手石油元売り各社は「系列店は元売りのブランドを使用している為、正規ルート以外からの仕入れは契約違反」としており、特にここ数年、軽自動車やHV等の低燃費車の台頭でガソリン消費量が約7%程度低下していることもあり、系列店への縛りを強めている模様。
公取委によると、石油元売り会社が総販売量の10%程度を商社などに「業転玉」として流す一方、系列店には高値で卸し、自社以外のルートでの仕入れを禁じていた事実が今回の調査で改めて浮き彫りになったそうです。
2012年6月までの1年間のガソリン取引に於いて、商社系への卸価格との差は平均3.8円/L、最大で6.9円/Lもの開きが有った模様。
公取委では独占禁止法が禁じる「優越的地位の乱用」に該当する恐れも有るとして、石油元売り会社各社に対し改善を求め、今後も取引状況を注視する構えを示しており、具体的事実に接した場合は厳正に対処するとしています。
ガソリン販売の8割を占める系列販売店も余剰ガソリンを仕入れられるようになれば、独立系販売店との店頭価格差が縮まる可能性が出てきそう。
かつては割安なガソリンスタンドが各所に存在していましたが、近年では何処のガソリンスタンドの価格もほぼ同水準となっており、価格変動時も見事に同期している背景にはこうした石油業界の内情が存在していた訳です。
1年前に比べてガソリンが20円/Lも値上がりしている現状に於いて、ガソリン貯蔵量が不足している訳でも無いのに価格の自由競争を阻むこうした価格統制は即刻見直して頂きたいものです。
■公正取引委員会 「ガソリンの取引に関する調査について」
http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h25/jul/130723.html
■公正取引委員会 「ガソリンの取引に関する調査報告書」(PDF版) http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h25/jul/130723.files/130723honbun.pdf
■ガソリン価格表示ガイドライン(全国石油商業組合連合会)
http://www2.crosstalk.or.jp/simaseki/kakakuhyouji.pdf
〔関連記事〕
・上がり続けるガソリン価格! 再びレギュラー160円台に!
https://clicccar.com/2013/08/15/227850/
・ガソリンの成分を知ってますか?半分は「税金」でできています!?
https://clicccar.com/2013/06/17/222956/
・円安なのにガソリン価格の下落が続いているのは“売れなくなった”から!?
https://clicccar.com/2013/05/07/219163/
・石油連盟も「ガソリン税」への2重課税反対で立ち上がった !
https://clicccar.com/2012/11/16/205071/
・ガソリン価格の謎。高くなったり安くなったりを繰り返すのはナゼ?
https://clicccar.com/2012/07/20/179758/
【画像ギャラリーをご覧になりたい方はこちら】 https://clicccar.com/?p=228166