Avanti Yasunori 
この夏、お盆の帰省や行楽中に高速道路を含めて普段とは異なる場所で給油すると改めてガソリン価格の高さに驚かされます。
経済産業省 資源エネルギー庁の発表によると、レギュラーガソリンの全国平均価格が2008年10月以来、4年10カ月ぶりに160円/Lを突破しました。
昨年8月に140円/Ｌだった事を思えば実に20円/Lも値上がりしたことになり、50Lタンクのクルマなら、一満タン給油当たり1000円も出費が増えている計算に。
振り返れば、ガソリン単価が上がる事は有っても、下がった記憶は余り無いのではないでしょうか。
そこで、経産省のデータを元に2004年に遡って現在までのレギュラーガソリンの価格推移を調べてみました。
※原油CIF（Cost, Insurance and Freight）価格
日本国内入着平均価格（税関を通った原油の運賃・保険料込み価格）
グラフから判るように、2004年に110円/L台だったレギュラーガソリン価格はその後上昇し続け、2008年のリーマンショック時に180円/Lを超えるレベルに急上昇。
その後110円/L付近までリセットされますが、再び現在まで5年間に渡り上昇し続けています。
2011年3月の東日本大震災や、2012年春頃のイラン核開発疑惑に伴う経済制裁の影響で価格上昇のピークが現れてはいますが、もっと大きなレンジで捉えれば着実に右肩上がりとなっているのが実情。
今年7月以降の急な値上がりについて、新聞報道ではエジプト情勢の混乱による原油価格高騰や円安進行に伴う輸入価格上昇を受けて石油元売り各社が卸価格を引き上げ、小売店が上昇分を小売価格に転嫁する動きが広がった為とされています。
確かにそのとおりですが、興味深いのは6年前の2007年7月以降、全面的に輸入に頼るガソリンの価格が長らく続いた超円高な為替相場に反して推移している点。 昨年の1ドル80円台の時点でもガソリン価格は下がる事無く上昇。
ガソリンの小売価格はグラフのように原油の輸入価格にリンクしており、原油価格が変動する主要因は原油が「投機対象」になっている為と言われています。
つまり中東などの産油国が原油価格を下げれば投機マネーが原油市場に流れ込み、その後高値で原油が売買される為、一旦価格が上昇し始めれば投機が集中して、どんどん右肩上がりに原油価格が上昇するというカラクリ。
その証拠が前述のとおり、リーマンショック時の原油価格変動に見事に現れており、2012年8月に投機が原油に集中したことで、原油価格の急上昇、急降下が発生。
8月第1週のレギュラーガソリン全国平均価格が160円を超えたのは25都府県で、長崎の165円10銭が最も高く、続いて鹿児島の164円90銭、佐賀の164円50銭。東京都は90銭値上がりして161円70銭に達しています。
近年ではガソリンスタンドの小売価格が日替わりで変動することもあり、世間では従来のように給油の都度、満タンにする事も減っているようで、10～20Lレベルで継ぎ足し給油する自動車ユーザーが増えていると言います。
以前にも触れたとおり、ガソリン価格にはガソリン本体に加えてガソリン税53.8円/Lの他、石油税 2.04円、原油関税 0.215円が課税されており、これにさらに消費税5%が2重で課税されている状況。
特に問題なのがガソリン税53.8円/Lの中で本来の税28.7円に1974年当時から現在まで長きに渡って延々上乗せされたままの「暫定税率分の25.1円」。
これを廃止すればかなり自動車ユーザーの負担が減って来るのですが、あの手この手で温存され続けています。
■ガソリン価格=（ガソリン本体＋ガソリン税 53.8円＋石油税 2.04円＋原油関税 0.215円）×消費税
2010年にガソリンの3ヶ月間の平均小売価格が1L当たり160円を超えた場合は暫定税率の適用を停止する仕組みも設けられましたが、未だ実績は有りません。
4月に消費税が3%増税されて8%になればいっそうガソリン代の負担が増すことに。
このようにガソリン価格が上昇し続ける中、ガソリンへの過度な課税は自動車ユーザーだけで無く、自動車会社にとっても新車販売で大きな問題であり、「自動車取得税」や車検毎に課せられる「自動車重量税」と共に、適正化に向けて今後も声を大にしていく必要が有りそうです。
■経済産業省 資源エネルギー庁 関連サイト http://www.enecho.meti.go.jp/info/statistics/sekiyukakaku/sekiyukakaku1.htm
■石油連盟 原油CIF価格
http://www.paj.gr.jp/statis/
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