軽自動車の新車販売に占める割合は今では4割にも届く勢いとなっており、これまでの「軽でいい」から「軽がいい」へとイメージが変わりつつあります。
軽自動車市場はこれまで長年ダイハツ・スズキの2強状態でしたが、ホンダの快進撃もあって、OEM車しか持たなかった日産自動車と暫く新型車を投入していなかった三菱自動車が共同で新型軽自動車を開発することに。
6月6日には合弁会社「NMKV(Nissan Mitsubishi Kei Vehicle)」開発による第一弾、日産「DAYS」と三菱「ekワゴン」が発売されました。
NMKVでは日産と三菱の軽自動車シェアの合計を、将来的に倍増となる20%に高めることを会社目標としています。
同社では多くの軽自動車が室内スペースを重視する余りドア断面がフラット(平板)になっていることに着眼、ボディ全体に抑揚のあるデザインを心掛けたといいます。
また内装品質に関しても物流の見直しで浮かせたコストをセンターパネルのオートエアコン用電子タッチパネルに充当して質感を向上。
発売当日にはTV東京製作のドキュメンタリー番組「ガイアの夜明け」で「人気沸騰!軽自動車ウォーズ」と題して同車の開発経緯が放映されました。
番組では開発期間が半年を切った頃、スズキが「ワゴンR」のフルモデルチェンジで28.8km/Lの燃費を達成したと発表、「NMKV」が緊急会議を召集して対応策を練る様子を紹介。
議論の末、軽トップの燃費を狙うべく、当初の燃費目標「28.2km/L」を急遽見直すことに。
残された時間が短いだけに社内は騒然となりますが、NMKVのプロジェクトマネージャーのリーダーシップにより最終的に「29.2km/L」を達成するというストーリー。
三菱は’90年代前半に「パジェロ」をヒットさせたものの、2000年に入るとリコール問題が浮上して経営危機に。2004年には資本提携先のダイムラークライスラーから追加支援を打ち切られ、05年1月に三菱商事自動車部門出身の益子修氏が経営再建の命を受けて社長に就任。
三菱東京UFJ銀行、三菱商事、三菱重工業の3社を中心とした三菱グループが約5000億円の優先株を引き受けて、三菱自動車は経営再建に向けて歩み始めます。
日経新聞によると、益子社長は「優先株が残っていると一般株主に十分に報いることができない。成長を目指す中で優先株の処理は避けられない」との認識を示している模様。
同社は6月25日の株主総会で承認を得た後、1998年以来15年間に及ぶ無配状態から脱し、年内の復配実現に向けた準備として、資本金と資本準備金を取り崩して単体累積損失約9246億円を穴埋めすると共に、株式発行枠の拡大を予定しているそうです。
つまり三菱自動車は2012年3月期の連結純利益で過去最高益を出したのを機に、「優先株」の処理と「復配」という2つの課題を解決する為の環境整備に入ったという訳です。
2014年初旬にはNMKVの第2弾としてスーパーハイトワゴンタイプの新型軽自動車を投入する予定と言います。
三菱自の業績は回復基調にありますが、益々過熱化するグローバル競争の中で如何にして生き残っていくかについては未だ見え難く、そうした意味では今回日産と共同開発した新型ekワゴン(DAYS)の販売は同社の今後の命運をかけていると言っても過言では有りません。
■NMKV Webサイト
http://nmkv.com/