見えた! FT-86 数々の新事実 【Fuji86スタイル2011】

8月6日(土)11:00より富士スピードウェイのイベント広場特設会場で開催された「Fuji 86 style 2011 土屋圭市氏トークショー」コーナーにトヨタFT-86の開発陣頭指揮をとる多田チーフエンジニアが登場。土屋氏や司会者の突っ込みで多田氏が思わず語ってしまった本音をくまなく取材してみました。

FT-86の正式発表や発売時期などを含めて新たな事実が判明。会場には数社のクルマ雑誌記者の姿も見られましたが、クリッカーが何処よりも早くその全容をお伝えします。

【今回判明した内容】 by  多田チーフエンジニア
・東京モーターショー2011の初日に正式発売時期(3月?)や車両価格帯などを発表予定。

・FT‐86は正式ネーミングでは無く、由来は社内開発コード86番を強い思い入れでゲットして開発を スタートした事による。

・「コンセプトカーで格好良くても正式発売仕様は格好悪い」と言われる事が多いが、今回は「更に良くなった」と言ってもらえるように鋭意開発中。

・NA 2.0Lのアルテッツァ(1340kg)に比べて、安全に関する法規対応を設計上、色々と織り込んでいるにも関わらず、大幅な軽量化を達成している。

・複雑な電子制御を使わず、ベーシックな部分(ボデー剛性等)に頭とコストを使っており、シンプルな構造でユーザーが手を入れる楽しみも残している。

・タイヤはあえて専用チューニングした物を使わず、どんなタイヤを使ってもそのタイヤの持ち味が存分に引き出せる設計にしている。

・当然、世界一厳しい排気ガス規制をクリアしており、環境面でクリーン且つ、燃費も驚くほど良い。そもそもスポーツカーは軽量で空気抵抗が少ないので燃費に悪い要素は本来何も無い。

・背が高いワンボックスカーが主流の現在、この車のシートに座った際に景色がまるで違う(低い)ので是非体験してみて欲しい。 サーキットのみならず普段乗りでも運転する事が楽しくなる筈。

【来場者からの質問コーナーより】
・ターボ車の設定は有るの? 
⇒有ると楽しいとは思うが・・・(発売当初は無い模様)

・Gスポーツ仕様は有るの?
⇒ チューニング・ショップだけでは対応できない部分も有るので、メーカーとしても毎年アップデートを予定、スペシャルモデルも色々な方面に向けて出していく。

(参考情報)
ニュルで実施中のテスト結果ではエンジンが小さい事もあり、一周のラップタイムは大排気量車と比べると特別速くは無いが、登りの少ない中間地点までは結構早いとか。

・全幅とタイヤサイズは?
⇒ AE86はサーキットへ行く際のスペア・パーツもちゃんと載せれたので、FT‐86でもレーシングタイヤが4本載るように配慮している。タイヤサイズは世の中に多く出ている通常サイズの物で特別大きい物では無い。ちなみにFT-86Ⅱに履かせたタイヤは18インチサイズ。

・ガソリンは無鉛仕様?
⇒勿論!でもお金の有る時は無鉛プレミアムを入れてもらってもOK。

・DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)仕様は無いの?
⇒ 安定して早く走れるメカだが、誰が運転しても同じなので個人的には楽しいとは思わない。よってDCTは設定無し。最近の車は運転中にする事が減って退屈と感じている。また、モータースポーツではお金持ちがより速く走れる世界だが、個人的には本来の姿では無いと思っており、ターボ、4駆、HGタイヤはクルマ社会をむしろ駄目にした元凶とさえ感じている。

【土屋氏より】
・チューニング向けに廉価バージョン(極端に言えばドンガラだけ)を出して欲しい。エンジンも不要。(どうせ積み換えるので)ホイールも鉄で良いから200万円を切る価格で是非。

・手を入れただけ、どんどん良くなる車が良い。何も弄れない完成した車はつまらない。AE86は「心地良い無駄」な部分で遊べるクルマ。だから今もレストアして2台も保有している。

・FT‐86もAE86のように息長くチューニングを楽しめるポテンシャルを秘めていて欲しいし、できれば10年、20年後の名車になって欲しい。

・余り告知していないが、8月末の土日(27・28)に多田CEを交えてお台場でFT-86のイベントを予定。クルマ雑誌3誌合同企画。そこで更に詳しい86トークを期待していて欲しい。

こちらも併せてお読み下さい。 https://clicccar.com/2011/08/30/56176

(Avanti Yasunori )

【画像がすべて見られない方は>>> https://clicccar.com/49632

この記事の著者

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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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