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■今季初の新城ラリーは雨…
2020年3月13日から愛知県で行われた全日本ラリー第2戦新城ラリー2020に参戦した、元SKE48の梅本まどかです。
開幕戦のRally Tsumagoiは中止となり、第2戦新城ラリーもコロナウイルスの影響でどうなるか不安でしたが、無観客で開催されました。
そんな新城ラリーですが今回初めて経験する事がたくさんあり、とても濃い3日間となりました。
実は今年2020年でラリー挑戦3年目なのですが、今まで雨の中でラリーをした事がありません! レッキが始まる直前で止んだり、2019年の新城ラリーでは途中雨が降り、その後雪に変わったのですが、雨が降ったのはリエゾン区間とキャンセルになったSSの時だけ。
準備期間中、天気予報を毎日チェックしていると金曜日が雨予報になったり、土曜日が雨予報になったり…。「これはどこかで雨が降りそうな予感」と、内心ドキドキしながら準備をしていました。
予報は当たり、レッキ日の金曜日が晴れ。土曜日のDAY1が雨。DAY2は晴れになりました。
レッキの時に「絶対明日は雨だから出来るだけ多くの情報をノートに記さなきゃ!」と、いつもより意気込んで挑みました。
それと、今回の新城ラリーでの目標は板倉選手とWRC参戦に向けて「ノートの精度を上げる!」ということを掲げていました。
レッキ日は2日間で走るSSをそれぞれ2回ずつ走れるのですが、1日目と2日目は同じSSを走る所もあったので全部で4ヶ所。合計8本走ったのですが、前戦参加したのがセントラルラリーだったからか、凄くあっという間に感じました!
あのセントラルラリーを経験したからか、体力的にも少し余裕が出たり、なんだか不思議な感覚でした。
新城ラリーは鬼久保と呼ばれるハイスピードコースのSSと、雁峰と呼ばれる林道SSが目玉となっているのですが、雁峰は道がくねくねしていて路面も悪く距離も1番長い16.26km。時間があれば2019年の動画を見たりと、準備期間になるべく頭に入れよう! 危ない所はチェックしておこう!と調べていました。
調べていた事やコケや砂が多い所、あと金曜日は晴れていたのですが路面が既に濡れている場所などがあったのでレッキ中、意識的にチェックをして、なるべく多くの情報をノートに記しました。
レッキが終わりサービスパークに戻ってから、2人で動画を見ながらノートと照らし合わせてチェックをし、そして話し合い、レッキ日は無事終了。
レッキ日は朝早く、DAY1は全日本ラリーの期間では1番遅いスタートなのでなるべく睡眠をとり、DAY1に備えました。
●いよいよ、DAY1が始まります!
朝起きるとまだ雨は降っていなくて、いつ降り始めるかな?とドキドキしながら準備をしていると、ホテルを出発する頃には勢いよく雨が降っていました。予想通り完全にウェット。
雨の中の移動はペースノートやロードブックなどが濡れないようにしなくちゃ!など、いつも以上に気をつけなければいけない事が意外と多くて大変でした。傘も別にクルマに積んでおいたり、靴も濡れるし…。雨は走る事だけでなく、ちょっとした心のゆとりがどんどん削られていきます。
山の中になると気圧などの問題で体調が悪くなったりもするからと、普段は車酔いをしないのですが、念のために酔い止めなども持っていきました。
サービスパークにはスタートの1時間半前に入り、メカニックさんやチームのみんなとお話をしました。
雨は初めてだったのでDAY1はとりあえず「無茶はせずに、走り切る! 雨を体感、経験してくる!」ということをモットーにスタート。
今回は無観客だったのでセレモニアルスタートが前日に行われず、当日のスタート後に行われました。
SS1までの距離が近く時間があまりなかったため、少しバタバタしながらヘルメットやハンスをつけたり準備をし、前車がスタートし、落ち着き確認をして「30秒前」とドライバーに伝えると急にオフィシャルの方が手でバツをして赤旗を出しました。
何があったのか聞くと「火災があったのでスタートしません」と。
まさかのスタート30秒前でこの事態。後ろにもスタートを待つ後方車がいたためなかなか動けず、10分くらい経つとようやく動けて逆走。
途中オフィシャルの方が立っていてそこで「オルタネイト1で次のSSまで行ってください」と。
SS1はキャンセルになり、SS2を目指します。
逆走になったので、前を走るのはゼッケンが後ろの車。ラリーは時間に遅れてもいけないし、道路交通法も守って走らないといけません。
但し、キャンセルになり予定が変わった場合や道路状況で渋滞などがあり、ミスした訳でもなく到着に無理がある場合はCROに連絡し、状況を説明するのもコドライバーの仕事。SS2に向かいながら連絡をしました。
無事にSS2に到着すると、あまり時間もなくTCを通過し、いよいよ雨の中のSSです。SS1がキャンセルになった事でバタバタもしましたが、逆にリエゾン区間が増え、2人のコミュニケーションがたくさん取れて少し心の落ち着きが出ました。
SS2は7.47kmのほうらいせん一念不動。スタートし、やはり雨だと少し前が見え辛く、滑りやすいんだなぁ…という印象。
どんどん進んでいき、6km地点までいくと前で人がバツをして誘導。誘導された所に行くと、クルマが沢山並んでいて、その前を見ると道にひっくり返ったマシンが1台。
通れるか通れないかギリギリの場所。場所というより、道幅がちょうど2台分あるかないかの所なので、一度全車止まってからゆっくり進んでそれに続き進みました。
これによりSS2も最後までは走れず、キャンセルに。
雨の過酷さを痛感しながらSS3のハイスピードコースの鬼久保へ。
今までこんなにキャンセルが出た事がなく、少し心の動揺がありましたが、とりあえず初めに立てた「無茶はせずに、走り切る!」を心の中で何度も言いながら、準備しました。
鬼久保は一般道の対向車線も使い2車線分を上手く使って走ります。レッキの時は普段と同じ1車線を走るのですが、本番は2車線なのでとても難しいのです。
真ん中にはキャッツアイや落ち葉が落ちている所もあり、通る場所なども重要になってくるのですが、「滑りそうなところはメモしたし、とりあえずやってみよう」と意気込んでスタート。
スタートしてすぐヘアピンがあり、そのあと少しくねっとしてからジャンクションで少し大きなカーブがあるのですが、そこで曲がれずハーフスピン。思っていたより滑ってしまう事に驚きました。
立て直して進むのですが、チェックしていた落ち葉も思っていたよりも滑る! これが雨の感覚なんだ!と実感しました。
走っていくとリタイア車もいたり、途中霧が出て前が本当に見えませんでした。雨のうえに霧となると、前車が通って散らばった落ち葉などもどこにあるかわからず、こんなにドキドキしたのは初めて!っていうくらい心臓がバクバクでした。
本当に雨のラリーは難しいんだなぁ…と、実感。
いろいろありながらもなんとかゴール。DAY1の前半が終了し、後半に向けてサービスパークでメカニックさんにマシンをみてもらいました。
この間にSS4がSS1での火災の影響が大きくキャンセルになった事を聞き、DAY1のSSが残り2本に。
リタイア車がいた場所などもチェックしたり、午前走って危なかった箇所もこの時間に見直してからサービスパークを出ました。
雨が弱まって止みそうでしたが、路面はウェット。SS5に向かい走ります! この向かうルートもSS4がキャンセルになるので、サービスパークに戻っている間に確認したりと意外とやる事が沢山あり、サービス時間の45分はあっという間でした。
SS5、6は1本目よりはいい感じに走れましたが、雨の走りを経験した事がなく、難しさを感じていました。
実はセントラルラリーの時とは見た目は同じなのですが、だいぶクルマのセッティングが変わっていたのでその壁にもぶつかっていて、雨の中で試せる所もなく。なんとか走り切れましたが、天気のようにモヤッとした感覚のままDAY1を終えました。
●同じチームから3台エントリー
今回実はWellpine Motorsportから全日本ラリーJN6クラスに私たちともう1台。そして地区戦にも1台と、合計3台が参戦していました。
地区戦は、全日本とスケジュールが違い、土曜日にレッキをして日曜日に走るという内容。走る場所も雁峰西と鬼久保と全日本がDAY2に走る場所と一緒で、レッキも全日本のマシンが走った後なので、DAY1の夜に動画チェックをする時に一緒に見せてもらえる事になりました。
地区戦のレッキが路面状況が1番最新でわかるので見せてもらったのですが、雁峰西の水溜りや砂、ドロドロな場所などたくさんあり、みんなでチェックする事でベテランの方にアドバイスをもらえたり、とても有意義な時間でした。
みんなで見ているとマシンやドライバーも違うので、ペースノートは同じような読み方の所はほとんどなくて、またコドライバーの書き方も違うのでペースノートの違いを見ることもでき面白かったです。
また、ここでレッキの時に砂や濡れている所、目印など今回はたくさんチェックしていたのですが、荒れている路面を見てノートと照らし合わせるとちゃんとチェックがついていて、自分で書いたペースノートを自分で答え合わせをしてみると85点くらいとれていた感覚になりました。
走ってみないとわからない所もありますが、事前に見て「ここチェックつけてよかったんだ!」と、合っていた所を沢山見つける事ができ、またそれを本番前に見ることができて、とても嬉しく、自信にも繋がる事が出来ました!
チームでいると、こういう所だけでなく、例えばクラッシュした車両がいた時の場所など危険なポイントを共有しやすかったり、コドライバーはコマ図の変更も一緒に確認出来るのは間違いのリスクも確実に無くせるのでこんなメリットがあるんだなぁ。と今回実感しました。
また、タイヤについても全日本で同じクラスに出ているもう1台のマシンは、雨でしたがミディアムタイヤを履いていたり、運転の仕方やセッティングが違いますがいろんな情報をもらえたのもとても勉強になり、面白かったです!
●DAY2はいろいろ試しました!
DAY1は雨の中だったためなかなか試す事も出来ずでモヤッとしていたのですが、DAY2はお天気は晴天! 路面は場所によりウェットという状況でした。
SS7の雁峰は林道で、あまり路面に陽が当たらないのでたぶんウェット、鬼久保は前日でも少し乾いていたのでドライコンディションかな!?という中、チームとドライバーと悩んだ末、前日と同じウェットのタイヤを履いて行く事にしました。
試せる所は試していこう!と少しリスクもある中、そのやり方でいくと決めてスタート。
雁峰西のTCに着くと意外と路面が乾いていて驚きました! 濡れている所と乾いている所の差が激しく難しそうだなぁ…と思いながらも準備を進めます。
スタートして、走っていくとヘアピンのような場所で少しロス。なかなか上手くいきません。
1km進みシフトダウンして左に曲がる所で、そのまま右に滑っていきコースオフ。思っていた現象がそのまま起こり、コースに戻ろうとしたけど、動かなかったので、すぐにマシンを降りて三角表示板を出し後続車にOKボードを出して、このままリタイアとなりました。
やっぱり雨の路面はとても難しく、悔しい結果になってしまったのですが、初めて経験できた事が多くとても勉強になりました!
スポンサーさんやチーム、また応援して下さった皆さんには申し訳ない気持ちですが、でもいろいろ試さないと何も知る事もできなかったのでトライできて良かったと思いました。
いつも晴ればかりだったので、雨だと気をつける場所、やらなくちゃいけない所、逆に気にしなくていい所などいろんな事を実際に体感できて、この新城ラリーは私にとって思い出深いラリーになりました。
またこの後にもいろんな事を知り、観る事が出来たのですが、これはまた次回のうめまど通信に続きを書きます!
(梅本 まどか)