オールシーズンタイヤブームの火付け役はさすがの性能だった【ベクター フォーシーズンズ・ハイブリッド試乗】

■ベクター フォーシーズンズ・ハイブリッドが火を付けたオールシーズンタイヤのブーム

一般ユーザーはもとより、メディアの担当者などからもよく聞かれるのが「オールシーズンタイヤってどうなの?」という話です。ちょっと前までそんな質問を受けることはまずありませんでした。それがここ2、3年ではよく聞かれるというレベルにまでなっています。

これはもう明らかにグッドイヤーの「Vector 4Seasons Hybrid」の影響といえます。

ベクター フォーシーズンズ・ハイブリッド 走り
安定したウインター性能を得られるベクター フォーシーズンズ・ハイブリッド

じつは世界で最初にオールシーズンタイヤを開発したのもグッドイヤーです。グッドイヤーは1977年にティエンポというオールシーズンタイヤを開発し、世の中に送り出しました。

北米では大きく発展したオールシーズンタイヤですが、日本ではなかなか認知度が進みませんでした。その大きな理由は日本の冬の環境が特殊なことにあります。とくに東北や北陸、北海道などの降雪地帯では雪性能、氷上性能が強く求められるため、春夏秋の3シーズンは夏タイヤを使い、冬はスタッドレスタイヤを使うという文化が根付いていました。

オールシーズンタイヤ 販売状況 月別
オールシーズンタイヤは季節商品ではない
オールシーズンタイヤ 販売地域
首都圏の一都三県での販売が多い

そこに一石を投じたのがオールシーズンタイヤ「ベクター フォーシーズンズ・ハイブリッド」の登場でした。2008年から始まった「ベクター フォーシーズンズ(当初はハイブリッドの名称は付けられていなかった)」の日本導入ですが、年を追うに従ってその存在感を高くしてきました。

とくに国産化され商品名を「ベクター フォーシーズンズ・ハイブリッド」とした2016年以降はその認知度が一気にアップし、多くの人がオールシーズンタイヤを気にするようになりました。そこで私への質問なども増えたというわけです。

毎年のように「ベクター フォーシーズンズ・ハイブリッド」を試乗していますが、その性能の高さは乗るたびに感心させられます。ドライ路面では、ロードノイズが大きめなのはメーカーも認識していますが、スノー路面で乗るとその性能の高さにはあらためて感心させられます。

今回はスタッドレスタイヤ「アイスナビ7」との比較試乗を行ったのですが、シャーベット路面では大きな違いは出ませんでした。唯一、違いを感じたのはステアリングフルロックのときで、「ベクター フォーシーズンズ・ハイブリッド」は大舵角が苦手なことを再確認できました。

オールシーズンタイヤ カテゴリー認知
オールシーズンタイヤの未購入者はオールシーズンタイヤはどういうものか理解している
オールシーズンタイヤ 事前に購入意思
オールシーズンタイヤは事前に購入予定者が多い
ベクター フォーシーズンズ・ハイブリッド 全体
独特なV型パターンを持つベクター フォーシーズンズ・ハイブリッド
ベクター フォーシーズンズ・ハイブリッド パタン
特徴的なベクター フォーシーズンズ・ハイブリッドのパターン

降雪地帯ではスタッドレスタイヤとサマータイヤを履き替えて使うことが有効的で安全性も高いのは明らかですが、その年によって降るか降らないかが不明な首都圏などでは、便利なタイヤといえるでしょう。また、降雪地帯で、サマータイヤの代わりとしてオールシーズンタイヤを使い、万が一の降雪時もとりあえず過ごすという使い方も注目されているといいます。

グッドイヤーでは「ベクター フォーシーズンズ・ハイブリッド」に加えて、「アシュアランス・ウェザーレディ」も追加。オールシーズンタイヤ2ブランドで58サイズが揃えられ、数多くの車種に対応しています。

(文・諸星陽一/写真・角田伸行、諸星陽一)

この記事の著者

諸星陽一 近影

諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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