トヨタ2000GTに2JZ! ケンメリにRB26! 現代に蘇った名車たち【東京オートサロン2020】

■ロッキーオートが2台の旧車スタイルを提案

愛知県岡崎市のロッキーオートはハコスカやケンメリ、初代フェアレディZといった国産旧車にRBエンジンを搭載するスペシャルショップとして有名です。

ロッキーオートのブース
ロッキーオートのブースは北ホール11の中央付近。この前を通れば、いやでも2台の旧車レプリカを目にすることでしょう。立ち止まらずにはいられないはずです。

古いクルマに新しいエンジンを載せると、パワーにボディが負けてしまう現象も現れます。そこでロッキーオートでは独自のノウハウによりボディを補強しつつ、サスペンションなどを刷新しています。ところが今では、この技術を応用して新たなクルマ作りをしているのです。なんと、国産旧車そっくりなボディパネルを生み出して新しいクルマに被せたレプリカモデルを製作しているのです。

今回の東京オートサロン2020には、ロッキーオートの技術の集大成とも呼べる2台のクルマが出展されました。それがこのトヨタ2000GTそっくりなR3000GTと、4代目スカイラインであるケンメリにそっくりな32ケンメリGT-Rです。

R3000GTと名づけられた白いクルマは、かの名車トヨタ2000GTのスタイルを忠実に再現しています。

R3000GTのフロント
今や数千万円という相場で取り引きされるトヨタ2000GTのスタイルを忠実に再現したR3000GTです。ボディはコンピューターにより実車を解析して、オリジナルのラインを新規製作しています。

ベースは比較的新しいトヨタ車を用いて、トヨタ2000GTから型取りした独自製作のボディを被せてしまったのです。このスタイルを生み出すため、元チーム・トヨタのキャプテンだった細谷四方洋さんに監修をお願いしています。細谷さんといえば、トヨタ2000GTによる国際速度記録を打ち立てたトヨタ2000GTスピード・トライアルにも参加した名ドライバーです。そのためでしょう、R3000GTは見事にトヨタ2000GTのスタイルを纏っています。

R3000GTのリヤ
特徴的なドアノブやフェンダーミラー、給油口やテールランプなども金型を起こして製作されています。オリジナルではマグネシウム製だったホイールはアルミにより再現されています。

シャーシは比較的新しいものですから、操縦性は現代的なレベルに仕上がっています。そしてエンジンはトヨタ製3リッター直列6気筒DOHCの2JZです。オリジナルの2000GT以上にスポーツ走行が可能ですし、旧車のような神経質さとは無縁です。オートエアコンやパワーステアリングも装備しているので、誰でも気軽に乗ることができるのです。

R3000GTのエンジン
オリジナルと同じ開き方を再現したボンネットを上げると、3リッター直列6気筒DOHCである2JZエンジンが現れます。このエンジンによりオートエアコンやパワステの装備が実現しました。
R3000GTのマフラー
トヨタ2000GTの後ろ姿を決定するのが特徴的な2本のキャブトンマフラーですが、これすらも完全に再現されています。その排気音はオリジナルより刺激的にされています。

もう1台の32ケンメリGT-Rも、同じ手法により製作されたケンメリ・スカイラインのレプリカモデルです。

ケンメリのフロント
ケンとメリーのキャッチコピーで有名な4代目スカイライン、ケンメリですが、こちらもそのレプリカです。R32スカイラインGT-Rをベースに、ケンメリのスタイルを再現したボディに変換されています。

その名の通り、R32型スカイラインのシャーシにケンメリのスタイルを組み合わせているのです。これまで何台ものケンメリ・スカイラインを扱ってきた経験から、そのスタイルを再現することは難しいことではなかったとロッキーオートの渡辺喜也社長は語ってくれました。同社が得意とするケンメリにRBエンジンを載せる手法の正反対といえ、無理のない操縦性やボディ剛性が得られるそうです。

ケンメリのリヤ
クーペ型のR32ですが、ファストバックスタイルに大変身しています。オーバーフェンダーやリヤスポイラーなどケンメリGT-Rの特徴的な装備も完全に再現されています。

今回のクルマはBNR32、そうですR32スカイラインGT-Rをベースにしています。しかもRB26DETTエンジンはニスモによる新品で、GCGタービンを組み合わせています。ミッションはゲトラグ製6速MTですので、豪快なスポーツ走行が可能になっています。

ケンメリのエンジン
R32GT-Rがベースですから、当然エンジンはRB26DETTです。ところがこちら、ニスモにより制作された新品のエンジンなのです。しかもタービンをCGCに変更して大パワーを得ています。

国産旧車にRBなどの新しいエンジンで、古くても現代的な実用性を備えることを売り物にしてきたロッキーオートですが、この2台が象徴するように新たな旧車の楽しみ方を提案する新たな次元に突入したようです。今後も目が離せないショップの一つでしょう。

(増田満)

この記事の著者

増田満 近影

増田満

複数の自動車雑誌編集部を転々とした末、ノスタルジックヒーロー編集部で落ち着き旧車の世界にどっぷり浸かる。青春時代を過ごした1980年代への郷愁から80年代車専門誌も立ち上げ、ノスヒロは編集長まで務めたものの会社に馴染めず独立。
国産旧型車や古いバイクなどの情報を、雑誌やインターネットを通じて発信している。仕事だけでなく趣味でも古い車とバイクに触れる毎日で、車庫に籠り部品を磨いたり組み直していることに至福を感じている。
続きを見る
閉じる