■ヨーロッパ、特にドイツのEVカーは個性いろいろ!
●各社それぞれの個性が世界をリードする
アウディ初となる、SUVの電気自動車であるe-tronは、2018年9月に発表されました。CO2ニュートラルな、近代的な工場であるベルギー・ブリュッセル工場で生産されるe-tronは、バーチャルミラーを初め、自社で開発したバッテリー技術や駆動方式など、アウディの先進技術が満載されたモデルです。国際モータージャーナリスト・清水和夫さんと、モータージャーナリスト・石井昌道さんとの海外試乗・車内トークインプレッションを覗いてみましょう!(※後席にいらっしゃるのは、アウディ ジャパン広報部長・丸田さん)。
清水:さぁ出発します、アウディe-tron 55 クワトロ。ちょっと雨降ってますけどね。トルクで言うとポルシェターボとかAMG63とか、そのくらいの700、800Nm級だから当然、4WDじゃないと成り立たないです。で、前後にモーターを積み真ん中の床下にバッテリーを搭載するEVです。助手席はモータージャーナリスト・石井昌道さんです。
このバッテリーはデカいんだよね?
石井:95kWhですね。この手はみんな、90 kWh以上が常識になりました。
清水:コッチ(ヨーロッパ)は「IONITY(アイオニティ)」っていう350kw級のウルトラデカい急速充電が流行っているというか、それを前提にしているという。
石井:欧州に400ヵ所でしたっけ?
清水:イヤ、ほとんどドイツだね。フランスにちょっとあるくらいで。
石井:350kwなのにコネクターとかバカでかいわけではないんですよね。高速道路に作るときは、かならず6基作らなくてはいけなくて、それで渋滞しない。それくらいあると便利だなって気がしますよね。
清水:でもさ、EVだから静かでトルキーなのは当たり前なんだけど、やっぱりシャシー性能、ボディ剛性、タイヤ、サスとか、こういったところが競争領域っていうか差別化だよね。だからやっぱり、自動車をよく知るドイツのプレミアムブランドがこのEVで世界を切り開いていくというのは、先駆者としてお手本になりますよね。
石井:電気自動車になったほうが個性を出し辛いと言われているじゃないですか…。
清水:ソレ、逆だよな!
石井:だからみんな、結構必死!って感じがありますよね。EQCはやっぱり乗るとメルセデスだし、I-PACEはジャガーだし。
清水:ちょうどタイカン(ポルシェ)の試乗会から流れてきてこのe-tron試乗、幸運にもEVを連続で乗っているんだけど。
石井:タイカンはやっぱりドッカン!系なんですか?
清水:ドッカン!だと思ったんだけど、あれは乗り手がドッカンだったんだね。アクセルをバカ踏みするととんでもなく速い! カタパルトから発進する戦闘機みたいな感じ…まぁ戦闘機乗ったことないけど。だからポルシェ タイカンは乗る人を選ぶね。助手席に乗る奥さんや彼女は「二度とアンタの横には乗りたくないわ!」っていうくらい、本当にムチウチになるくらい凄いのよ。だから出だしをそ~ッと行けばいいんだけどね。みんな今、バガッ!って踏むじゃない。それに4WDとかトラコンとか付いてるから踏んでも問題ない。昔のオッサンの右足と違って、最近の人の右足はみんなバカ踏み。でもその運転方法はEVにはダメですね。
石井:その点、e-tronは上品ですよね!
清水:アウディは高級車を作ったんだね、EVという手段で。例えば今、アクセルをバカ踏みしてもホラ、全然平気じゃない。
石井:アウトバーンでも、もちろんスピードは出るんですけど、加速感に品があるというか。一瞬の間をちゃんととってあるみたいな、そしてトルクをボンと立ち上げないで、なましているというか。その辺が上手なんでしょうね。
清水:まぁ~ポルシェ(タイカン)はハンス付けていないとダメだよ! ジェントルマンドライバーが乗って、そこから出だしをスッと踏んでグッと…、そういう右足の踏み方ができる人には、限りなく良いクルマだね。
石井:ある意味、リニア。その通りに出ちゃう。
清水:だからポルシェ(タイカン)とこのe-tronはプラットフォームなんかかなり近いと思うし、共通と言ってもいいくらい。なんですけど、やっぱりこれだけ個性を作り分けたというところは、タイカンはポルシェだし、e-tronはアウディだし。
石井:そうか、逆に同じものを使うと、より自分らの個性を大事にしなきゃ!って頑張るかもしれませんね。
清水:今までエンジンとか部品の違いで自動的に個性ができていたんだけど、お料理を作る人が「材料は全部一緒、でも違うお料理を作りなさい!」って言われたみたいな。
石井:自分は弱火でじっくり焼くか、強火で、みたいな差が出てきそうね。しかし、ドイツ勢は完全にEVにきましたね!
清水:だから、ホンネはまだエンジンは死んでいない!とか言いつつも、やっぱりEVで新しい世界に行こうよ!って。よくポリティカル(政治的)な話だっていうのもあるんだけど、これくらい良いクルマを作っちゃうと、やっぱりこれで行こうか!ってなっちゃうよね。じゃ、EVの課題はどこにあるのか?っていうのを明確にして、そこを技術とかシステムで乗り切っていく…ソコだね。
(試乗&レポート:清水 和夫・石井 昌道/アシスト:永光 やすの/動画:StartYourEnginesX/取材協力:アウディ ジャパン)
【SPECIFICATIONS】
車名:Audi e-tron 55 quattro
全長×全幅×全高:4901×1935×11629mm
ホイールベース:2928mm
トレッド(フロント/リヤ):1655/1652mm
車両重量:2490kg
駆動用バッテリー:リチウムイオン電池
総電力量:95kWh
最高出力:265kW(360ps)※300kW(408ps)
最大トルク:561Nm(57.2kgm)※ブースト時 664Nm(67.8kgm)
トランスミッション:1速(2ステージ)
駆動方式:全輪駆動(AWD)
サスペンション(フロント/リヤとも):5リンク
タイヤサイズ(フロント&リヤとも):255/55R19 111H XL
航続距離:411km以上
0→100km/h加速:6.6秒(ブースト時5.7秒)
最高速:200km/h
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StartYourEnginesX
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