■インホイールモーターで前後左右に自在に動くマイルーム
空前のアウトドアブーム、キャンピングカーの人気ぶり、あるいはノマドワーカーやテレワークなど、従来からの固定概念にとらわれずオフタイムを楽しんだり、仕事に取り組んだりする生き方が注目されています。そんな現代だからこそ、プライベートな空間とオープンな空間をスイッチするという、スズキのコンセプトカー「HANARE(ハナレ)」は生まれたのでしょう。
全長3900×全幅1800×全高1900mmでパワートレーンはEV。前後対称のフォルムが印象的で、各駆動部の内側に配置されるインホイールモーターにより、前後左右の自由な移動を実現するとしています。
ボディの前後という考え方がなくなるため、駐車場や狭い場所でも自在に取り回しできるという、スモールカーを得意とするスズキらしいコンセプトカーになっています。
サイドがほぼドアになっていて、超大開口により人の出入りも荷物の出し入れも自由自在。インホイールモーターのEV化でフラットフロアを実現し、リビングなど自分の家(部屋)のように自由にカスタマイズできます。
インホイールモーターありきのコンセプトカーといえますが、同方式はコストやバネ下の重量増、振動や衝撃への対応、浸水なども想定する必要があり、モーターとブレーキが近い位置に配置されるため、放熱対策も必要とされます。こうした課題がクリアされればインホイールモーターはスペース効率に優れるだけでなくエネルギー損失も少ないため、将来のEVのひとつの形としてあり得るかもしれません。
なお、ハナレの前後ですが、ライト部が青くなっている方が前方、赤くなっている方が後方となります。これを覚えておけば、ハナレがどちらに進むか、外から見て迷うことはなくなりますよ。
(文/塚田勝弘 写真/長野達郎)