松永 和浩 
●ガスタービンエンジンのPHEVコンセプトカーと次期ekスペースと目されるハイト軽自動車のコンセプトカー
三菱自動車は「東京モーターショー2019」にて、二つのコンセプトカーを世界初公開しました。
そもそも三菱自動車の強みはプラグインハイブリッド（PHEV）のSUVをすでに市場投入していることで、その上での電動車戦略について加藤隆雄CEOは、
「当社は電動化技術、特に PHEV を得意としており、これからも PHEV カテゴリーをリードすべく、さらなるバリエーションの拡充を推進するとともに、アライアンスにおける多様な電動化技術を活用することで、電動車のラインナップを拡充します。具体的には 2022 年までにミッドサイズ SUV、コンパクト SUVに、いずれかの電動化技術を採用した新型車を投入する計画です。今後軽自動車を含め電動化を進めていきます」
と語ります。
その加藤氏の合図とともにアンベールしたMI-TECH CONCEPT。
MI-TECH CONCEPTは「光と風を感じながら大地を駆け抜ける電動 SUV」をコンセプトに、軽量・小型化した新しい PHEV システムと4 モーター方式の電動 4WDシステム、先進の運転支援技術と予防安全技術をスモールサイズの SUV に凝縮した、三菱自動車のブランドメッセージ“Drive your Ambition”を体現するコンセプトカー。
新しい PHEV システムの発電エンジンとして、従来のガソリンエンジンに比べて軽量・小型なガスタービンエンジンを採用しています。
ガスタービンエンジンはサイズや重量あたりの出力が大きいながらも排出ガスがクリーンで、ガソリンだけでなく軽油、灯油、アルコールなど様々な燃料が使用可能。地域によって最適な燃料を選択することができるため、環境・エネルギー問題に対して柔軟に対応できるとしています。
スタイルはSUVをイメージしやすいバギータイプでホイールなどにはモーターのコイルをイメージしやすい銅の色「カッパー」を挿すことで電動車のイメージを作り上げています。
プラグインハイブリッドを得意とする三菱ならではのコンセプトカーとなっており、レンジエクステンダー的に使われるガスタービンと相まってこの技術が世界中を走り回ることが容易に想像できます。
そしてすぐ近い将来、むしろ年度内にも市販されそうなコンセプトカーを三菱自動車代表執行役COOの グプタ・アシュワニ氏が紹介します。
グプタ・アシュワニ氏の合図でアンベールされたSUPER HIGHT K-WAGON CONCEPT。真っ先に見えたフロントグリルはデリカD:5から始まる最近の三菱テイストそのままです。
「激戦区であるスーパーハイトワゴン市場に送る、新世代軽自動車の第 2 弾の位置付け」と語るグプタ・アシュワニ氏。アライアンスを組む日産のプロパイロット技術を応用した「MI-PILOT」を搭載し安全性能を重要視しています。
フェンダーアーチをブラック・アウト、バンパー下部にプロテクター風な意匠を施すなどSUVテイストを盛り込んだスタイルとなっています。またフロントグリルやバンパー周りなどはeKクロスと同じデザインテーマーで迫力あるスタイルとしています。
ハイトタイプの軽ワゴンならではの居住性も大幅に拡大しています。スライド量の多いリアシートを最後部まで下げればとんでもなく広い足元スペースが生まれ、それに合わせてリアのスライドドアも開口部を大きくとることで乗降性もアップしています。
MI-PILOTの他に衝突被害軽減ブレーキシステムや踏み間違い衝突防止アシストなども搭載し「サポカーS ワイド」に該当する予防安全技術「e-Assist」の採用でドライバーの負担を軽減していくようです。
身近に登場が期待できるSUPER HIGHT K-WAGON CONCEPTと今後の三菱自動車の道筋を見出すMI-TECH CONCEPTで三菱自動車ブースは未来を提案しています。
（写真・文：松永和浩）
