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■業界の枠を超えた幅広い展示内容が「FUTURE EXPO」の魅力
●10月24日開幕の東京モーターショーではメガウェブへゴー!
24日(木)から開幕する東京モーターショー2019。cicccarでは23日のプレスデーから全力取材を敢行し、速報記事を随時アップしていきますので、お楽しみに。
さて、第46回となる今年の東京モーターショーは、従来のモーターショーの殻を打ち破るような新しい試みが行われます。その一つが「FUTURE EXPO(フューチャーエキスポ)」です。
「FUTURE EXPO」の会場となるメガウェブの中には、自動車メーカーだけにとどまらず約60社の企業・団体が集い、近未来空間が作り上げられます。来場者にはそこで6つのテーマ(「入国」「移動体験」「都市」「スポーツ」「地方観光」「未来のエネルギー」)に沿って展示された最先端技術を実際に見て、感じて、楽しみながら体験してもらおう、というのです。
本日(22日)、clicccar取材班はいち早くそのコンテンツを堪能することができましたので、一部をご紹介しましょう。
●入国エリア
入り口のトンネルを抜けると、未来の日本に「入国」します。そこでは、バーチャルキャラクターがお出迎えしてくれ、来場者はマイクを通して彼らと会話を楽しむことができます。会話の内容によってキャラの表情は一喜一憂。また、キャラの声役はお笑い芸人が担当することもあり、彼らの軽妙なトークには思わずニッコリさせられてしまいます。
●移動体験エリア
続いて、未来のモビリティを体験するコーナーへ進みます。ここで目を引いたのは、パナソニックが提案する、完全自動運転車の室内空間のコンセプトモデルです。
完全自動運転が実現すれば、乗員は運転を気にする必要はなくなります。そうなったとき、乗員がより快適に過ごすにはどのような車内空間を提供すればいいのか。パナソニックが出した答えが、「移動するリビングルーム」がコンセプトの「SPACe_L」というわけです。
広い室内には4人が向かい合って座ることが可能です。
側面と天井には大型の有機LEDディスプレイが搭載されています。こちらは、ベルリンフィルのコンサートの模様。スピーカーは22個も設置されており、迫力ある音声を楽しめます。トーンマイスターに来日してもらって、この空間に最適な音場作りをしてもらったそうです。
普通の水族館では見ることができないような角度から、魚を鑑賞することもできます。
温度センサーが2箇所設けられており、一人一人の乗員が快適に過ごせるよう室内温度調整が行われる機能も備えています。至れり尽くせり!です。
こうした提案は、長らく家電と住宅を提供し続けてきたパナソニックならではのものといえるでしょう。
●スポーツエリア
次は、スポーツエリアです。NTTの「Kirari!」という超高臨場感通信技術を用いた、未来のスポーツ観戦を体験しました。離れた会場の競技が、あたかも目の前の空間で行われているかのように見せることができる技術です。
キモとなるのは、普通のビデオカメラで撮影した映像の中から、浮かび上がらせたい選手など必要な部分だけを切り出すことができる画像処理技術です。また、送信した映像を音声と一緒に同期を取ってズレがないように再生することができる通信技術もNTTの自慢です。
続いて、人工知能で投球動作を学習してシュートを決める、「CUE3」というロボットも登場です。
名前からもお分かりのとおり、すでに三世代目に進化を遂げています。初代ではフリースローラインからだったシュートの距離が、2代目ではスリーポイントライン(6.75m)まで延び、このCUE3ではついにセンターサークル(約12m)からシュートが決められるようになりました。
連続フリースロー最多回数「2020回」のギネス世界記録も取得しています。本当はもっと記録を伸ばせたそうですが、会場や認定員の時間の都合で、2020回にとどめたそうです。
一方、富士通は世界初の3Dセンシング技術を用いた採点支援システムを展示していました。すでに10月に行われた国際体操選手権においても、10種目中4種目でテスト運用されたそうです。
これが選手の動きを3Dで検出するレーザーセンサーです。
このレーザーセンサーで収集したデータと体操連盟の技のデータとをマッチングして採点を支援します。
体操競技では技が年々複雑になってきているため、審判が正しく採点するのが困難になっているそうなので、こうした技術の進歩は歓迎されることでしょう。
3Dセンシングはゴルフのスイング診断にも使われています。2箇所のビデオカメラでスイングを撮影し、それをプロの15人のスイングの平均値と比べて、どれくらい類似性があるかが採点の基準になります。
こちらは縄跳びセンシング。ジャイロセンサーを腰に巻いて縄跳びをすることで、回数だけでなくリズム感や体幹を検出して採点してくれます。
●地方観光エリア
こちらは、未来の地方観光をテーマとしたエリアです。NECの顔認証決済店舗のデモが行われていました。NECの顔認証技術は世界トップレベルで、様々な分野での活用が期待されているのですが、今回はそれを決済に利用しています。
簡易的な無人店舗(セルフレジ)で、消費者が自分で商品を読み込ませて、カメラに顔を読み込ませれば決済が完了します。
最初に自分のスマートフォンで顔情報とクレジットカードの情報を登録する必要がありますが、この技術がすごいのは、登録された何万、何十万という顔情報の中から適合するものを瞬時に見つけ出すこと。スマホの顔認証はせいぜい数パターンが登録できる程度ですから、その技術的難易度の差は歴然といえます。
●未来のエネルギー
こちらは未来のエネルギーをテーマとしたエリアです。水素を使った社会をイメージした模型が来場者を迎えます。再生可能エネルギー(太陽光発電や風力発電)から水素を作って、それがクルマや家庭で使われるということを表現しています。
なお、このエリアでは新型ミライも展示されますので、お見逃しなく。
月面での資源(水素)を見つけるべくJAXAとispaceが共同して開発している探査機も展示されていました。
こちらはJAXAとトヨタによる月面有人探査車「ローバ」の模型。燃料電池の技術を用いています。後ろに見えるのは、実物大のローバのタイヤです(ブリヂストン製)。シマシマのトレッドパターンがユニークです。
●e-Motorsportsエリア
近年、ますます盛んになってきているeスポーツ。その中でもレーシングゲームに特化したのが「e-Motorsports」です。FUTURE EXPO内のステージでは、PS4用ソフト「グランツリーリスモスポーツ」を使ったイベントが開催予定です。なんと自動車メーカーの担当者やレーシングドライバーによるガチバトルも行われるそうなので、開催期間中は要チェックです。
…と、駆け足でその展示の一部をご紹介しただけでも、「FUTURE EXPO」の充実した内容がお分かりいただけたのではないでしょうか。
ただクルマを展示するだけでなく、未来のクルマ(モビリティ)がどのような社会を実現するのかを提案し、それを来場者に感じてもらおう、というコンテンツを、ぜひあなた自身で体験してみてください!
(長野達郎)