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■6月は四半期決算時期で、営業マンから値引きを引き出しやすい
クルマをお得に購入できるタイミングとして、皆さんが意識しているのが「決算」の時期だと思います。3月や9月の半期決算は有名ですが、じつは6月と12月の四半期決算も見逃せないタイミングで、6月〜7月初旬はのはご存知でしょうか。その理由を、元ディーラー営業マンの目線から解説していきます。
●四半期決算はメーカー都合だが、ディーラーも販売に力を入れる
日本の自動車販売は、メーカー(例:トヨタ自動車)とディーラー(例:〇〇トヨペット)に分かれて行われています。メーカーはクルマを作ってディーラーに売り、ディーラーはメーカーからクルマを買って顧客に販売します。つまり、メーカーは全国の各ディーラーにクルマを卸した時点で利益が発生します。一方、ディーラーは顧客に販売して、新車(中古車)の登録をし、車検証が発行された時点で利益が確定します。
またメーカーとディーラーの間には、年間計画と呼ばれる配車台数のスケジュールが存在します。例えば、1月にはクラウンを30台メーカーへ注文しなさいという、半ば強制的にディーラーにクルマを送り付けるノルマのようなものです。これを達成しないと、メーカーとの契約が終わってしまい、ディーラーはクルマを仕入れることができなくなってしまいます。したがって、顧客からの注文が少ない場合は、ディーラーは店舗で使用する試乗車や、売れ筋の仕様で仮注文しておく在庫車を増やして、年間計画を履行し続ける必要があります。
さて、四半期決算である6月と12月ですが、この時期の数字を気にするのは主に自動車メーカー側です。販売店であるディーラーはそれほど大事にはしていませんが、強制配車台数が多いため、ディーラーもこの時期に顧客からの注文が少ないと、自社の在庫がダブついてしまいます。そういうわけで、販売に力を入れるディーラーが多いのです。
●営業マンも販売に時間がとりやすい時期でもある
私たちがディーラーを訪れたとき、対応してくれるのが自動車営業マンです。
彼らはクルマの販売を行うだけではありません。アフターサービスの案内や予約まで、カーライフをトータルでアシストしてくれる存在です。
したがって、保有顧客の点検や自動車保険の更新が多い月は、販売に使える時間が少なくなります。特に登録・納車の多い3月と、その半年後の9月は、点検整備の入庫台数が多くなり、点検予約をもらうための誘致活動にかかる時間も長くなってしまいます。この前後1か月も同様に、保有顧客のアフターフォローで忙しく、商談をする時間が往々にして短くなります。
こうした事態はディーラーの本部も認識しており、繁忙時期に新車の販売キャンペーンを行っても効果が薄いことを理解しています。そこで、キャンペーン施策はアフターフォローの繁忙時期を避けて行われます。
つまり、メーカーがクルマを大量に配車したい6月や12月は、ディーラーへのサービス入庫の閑散期と重なるため、新車の販売に最も注力できる時期なのです。
●大きな宣伝はせず、報奨金で営業マンのやる気を出させる
6月から7月に行われる販売キャンペーンでは、お正月や3月・9月の決算時期のように大きな広告を打ち出すことはありません。その代わりに、会社の内部的に下取り価格の一律増額や、販売台数に応じた報奨金のアップなどを行って、営業マンの売る気を出させます。景品や目玉特典車などが無いため、本当の意味での営業マンのやる気と腕が試される時期でもあるのです。
営業マンは販売報奨金が欲しいので、多少無理をしてでも販売台数を伸ばしにかかります。普段は無理な値引き額だとしても、1台の注文を取るためには背に腹は代えられませんから、値引きのボーダーラインが緩みがちです。下取り査定額のアップも絡めて大幅値引きが期待できるので、お得にクルマが買える時期と言えるでしょう。
また、新型車は例年秋に投入されることが多いため、6月からはモデル末期のクルマが多く発生し始めます。新型車が発表されるとディーラーで抱えた旧型の在庫販売がしにくくなるため、この時期を前に在庫車を売り切ってしまいたい、というのがディーラーの本音です。それを頭に入れて、この時期は初めから新車の在庫車を狙って商談するのも、お得にクルマを購入できる方法といえます。希望のボディカラーやメーカーオプションが装着された新車在庫車があるか、営業マンに確認しつつ、しっかりと狙っていきましょう。新車在庫車の販売は、営業マンにも別途営業報奨金が出るケースが多いので、営業マンのやる気もさらに上がることでしょう。
●まとめ:6月から7月初旬は新車購入に最適な時期!
大々的な広告宣伝は行いわないものの、6月から7月初旬は良質な条件を引き出しやすいこともあって、購入に最適な時期の一つです。ディーラーの内部キャンペーンを駆使して、お得にクルマをゲットしましょう!
(文:佐々木 亘)
※写真はイメージです。