トヨタ2000GT詳細撮影その9 リアエンド編

トヨタ2000GTはリアから見ると筆舌にかなわぬほどの流麗なラインに目を奪われます。

フロントからドアの下を通ってテールランプ周りやリアエンドまで一切の継ぎ目を廃したボディには溜息しか出てきません。

レクサスLF-Aですらこれだけ徹底したボディは与えられないのですから、トヨタ2000GTは国産車史上で至高の存在となるわけです。

この、斜め上からのポイントで眺めると、流麗なラインがよりいっそう美しく見えます。
内装編でも記しましたが、室内はかなりタイトですのでルーフもダブルバブル形状としてヘッドクリアランスを確保していることがよくわかります。

テールエンドの、特にナンバー周辺に、スパッと切り落とされたかのように造形ラインを見ることが出来ます。これは当時のアバルトやザガートなどで流行っていたコーダトロンカの流れを取り入れたのではないでしょうか。

しかし全体的に見ると、ジャガーなどのイギリス車に範を得ている印象を与えます。キャブトンタイプのマフラーなど、当時のイギリス製スポーツカーやノートンなどモーターサイクルのチューニングパーツによく見ることの出来るカタチです。

リアエンドから話がそれますが、フロントウインドウもかなり湾曲した三次曲面を持っています。これにあわせたワイパーが、また恐ろしく湾曲した形状となっています。

こうやって、トヨタ2000GTの本当に細かいところまで見て行くと、1967年当時、世界に追いついた日本の自動車産業は世界を追い越すための逸品を本当に必要としていたのだ、と改めて感じます。

また機会がありましたら、いろいろな名車の詳細な写真特集をして見たいと思っています。
ビンテージ、クラシックカーのオーナーの方で撮影をご許可いただける方がいらっしゃいましたら、編集部までご一報を賜りたいと存じます。

(北森涼介)

この記事の著者

松永 和浩 近影

松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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