■痛ましい交通事故。ガードレールさえあれば守れた命がある。それなのに…
滋賀県大津市、琵琶湖畔のT字路で、直進と右折の乗用車同士が衝突。直進の乗用車は進路を外れ、歩道で信号待ちをしていた保育園児らに突っ込んだ。園児2人が死亡し、14人が重軽傷。世間は大騒ぎになった。
私は強い違和感を覚えた。
交差点は、クルマや人が交差するがゆえに事故が多い。警察庁のデータによれば毎年、事故の半分以上は交差点およびその周辺で起こっている。
本件は「右直(うちょく)事故」といって、追突事故ほど多くはないが、よくある交通事故の基本パターンだ。普通に起こり得る事故なのである。
結果、大勢の死傷者がでた理由は何か。
ずばり、頑丈なガードレールがなかったからだ。事故った車両が進路をそれても歩道で信号待ちをする歩行者(本件では多数の園児と保育士ら)に突っ込まないよう、守る構造物がなかったからだ。
そのことに言及するテレビ報道もあったが、私が観た限り「予算がない」が原因とのことのようだ。
1週間ほどして、全国をまわってオービス(自動速度取締装置)の写真を撮りためているマニア氏からメールがあった。
「これ、ひどくないですか?」
そう言って、いくつかの画像を添付してくれた。許しを得ていくつか、この記事に載せよう。ご覧いただきたい。
●園児らの命よりも、オービスの方が大事なのか!?
お気づきだろうか。オービスの支柱を、設置場所を、ピンポイントで守るべくガードレールが設置されている。
そんな予算はあるのに、保育園児らを守るための予算はない。
お前らは、園児らの命よりオービスのほうが大事なのか!と言いたくなる。
もちろん、オービスの設置場所より、事故った車両が突っ込みかねない場所のほうがはるかに多いのだろう。それは分かるが、この国が守りたいものは何なのか、うかがえる画像とは言えないか。
どうしてこんなことになるのか。
1、交通安全のために道路交通法がある。
2、道路交通法を守れば事故は起きない。
3、事故を防ぐためには道路交通法を守らせよう。守らない者を取り締まろう。
4、事故が起こったら、起こした者を厳しく処罰しよう。
この考え方が主流だからだと私は思う。
だから、速度規制を守らない者を取り締まるためのオービスを、ガードレールでしっかり守る。すじがとおっている。
ときに事故が起こるのは仕方ない。起こっても、歩道の歩行者が巻き添えで死傷しないように守ろう、という考え方は日本においては主流ではない。
そのために、失われなくていい命が無残に失われ続ける。ああ、私は悔しくてならない!
(今井亮一)