飲酒運転は同乗、車両や酒類の提供も同様の罰則対象!「飲酒運転同乗罪」「車両提供罪」とは?

■飲酒運転にかかわると免許取り消しや免許停止処分の対象に

飲酒時は、安全運転に必要不可欠な情報処理能力が著しく低下する
飲酒時は、安全運転に必要不可欠な情報処理能力が著しく低下する

2022年の1年間における飲酒運転の交通事故件数は、2167件でした。

単純計算で1日約6件の交通事故が起きており、交通事故のうち死亡事故件数は年間120件。死亡事故率は飲酒していない場合と比べると約7.1倍にも上ります。

さらに、警視庁の発表によれば、飲酒死亡事故で亡くなった人の約4人に1人は第三者の無関係な方だということがわかっています。

飲酒運転は、自分だけでなく他人の命を奪ったり、家族を不幸に巻き込んでしまう可能性があることを深く理解しておかなければいけません。そして、飲酒運転をした場合、罰則を受けるのは運転手だけではありません。

飲酒運転の同乗者やクルマを貸した人、さらには運転手に酒類を提供した人も、罰則の対象になるのはご存じですよね。

●飲酒運転にかかわることで罪になるケース

飲酒運転は「しない」「させない」「ゆるさない」
飲酒運転は「しない」「させない」「ゆるさない」

道路交通法第65条の4には「飲酒運転のクルマに同乗してはならない」と明記されており、飲酒している人が運転するクルマに同乗するだけで、飲酒運転同乗罪に問われます。

同乗者が罪に問われるのは、運転手が飲酒しているところを見たり、同席していたりしたなど、運転手が飲酒していると知っていた場合です。

運転手がまっすぐに歩けない、ろれつが回っていないことを認識していた場合も同様です。また、飲酒した人に対して自分を送っていくように要求、依頼してクルマに同乗することも罪に問われます。

クルマの提供者も同じです。運転者がお酒を飲んだ状態で運転をする可能性があることを知りながらクルマを貸した場合は、車両提供罪に問われます。

これは道路交通法第65条の2に「飲酒運転するおそれがある者に対して車を提供してはならない」と書かれてある通りです。

また、このあと運転するおそれがあると知りながら運転者に酒類を提供した人も、酒類提供罪に問われます。また飲食店の場合、実際に提供した従業員はもちろんのこと、店主も管理者として処罰の対象になることがあるので注意が必要です。

道路交通法の第65条の3には「飲酒運転するおそれがある者に対し、酒類を提供し、又は飲酒をすすめてはならない」と定められています。

●飲酒運転ほう助の罰則

飲酒運転は、酒酔い運転と酒気帯び運転の2種類に分類されます。

酒酔い運転とは、一人でまっすぐ歩けなかったり、ろれつが回っていない状態でクルマを運転することで、アルコールの摂取量は関係ありません。

酒気帯び運転とは、呼気1リットル中のアルコール濃度が0.15mg以上の状態で運転することです。

運転手が酒酔い運転をしたクルマに同乗した際、もしくは運転手に酒類を提供した際の罰則は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金。酒気帯び運転の場合は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金という処分が下ります。

また、その同乗者が自動車免許を取得していない場合も罰則対象です。

そして、クルマの提供者には運転手とまったく同じ罰則が与えられます。クルマを提供した罪は重いということです。運転手が酒酔い運転をした場合、5年以下の懲役または100万円以下の罰金。運転手が酒気帯び運転をした場合、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金という処分が下されます。

●飲酒運転にかかわる行政処分

同乗、車両や酒類の提供で飲酒運転に関わってしまった場合、通常は運転手と同等の処分になります。運転手が酒酔い運転だった場合、違反点数は35点で免許取り消しになります(欠格期間3年)。

酒気帯び運転であれば、呼気1リットル中のアルコール濃度が0.15mgから0.25mg未満の場合、違反点数は13点で90日間の免許停止です。呼気1リットル中のアルコール濃度が0.25mg以上の場合、違反点数は25点で免許取り消しです(欠格期間2年)。

車両、酒類の提供者や同乗者が免許を持っていれば、免許取り消しや免許停止の対象になり、万が一事故を起こしてしまった場合は酒類の提供者や同乗者も賠償の責任を負う可能性があります。「自分は運転しないからいい」では済まされないのです。

●飲酒運転をしないための対策

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飲酒運転をしないためには、あらかじめ自分の中でルールを決めておくことが重要です。

まず、お酒を飲むと決まっている日は、クルマを使わずに電車やバスなどの公共交通機関を利用。

深夜になり、公共交通機関がない場合は、タクシーを利用。

また、クルマに乗って飲酒するお店に行った場合は、帰宅する際は運転代行を利用して、自宅まで送り届けてもらわなければなりません。

友人と飲酒する際は、事前にハンドルキーパーを決めておくという対策もあります。ハンドルキーパーとは、宴席でお酒を飲まない人のことです。帰宅する際に、ハンドルキーパーが友人を自宅まで送り届けることで、飲酒運転の防止になります。


飲酒運転は、運転手だけでなく同乗者やクルマを貸した人も厳格に処分されます。

飲酒運転をしてはいけませんし、させてもいけません。常識ですね!

(鈴木 僚太[ピーコックブルー])

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