蛍光灯と人工太陽灯を使って最後の念押し【トヨタ・センチュリー工場に潜入⑥〜検査工程】

新型センチュリーの工場にある最後の「検査工程」。今回の取材では、実際の検査というよりも、塗装やボディの美しさ、検査時のライトへのこだわりなどが紹介されました。

「検査工程」にある「面塗装品質確認場」では約100本の蛍光灯を使い、「几帳面」と呼ばれるキャラクターラインなどのわずかな歪み、塗装の仕上がりがチェックされます。

といっても、各工程で丹念に仕上げられて最終工程である検査工程に回ってきますから、本当に最後の念押しだそう。1台当たり90分近くもかけて、塗装のくすみなどだけでなく、映り込み(映り込む景色まで計算したのが3代目の現行センチュリー)まで確認するそうです。

蛍光灯を当てるだけでなく、6つある人工太陽灯に切り替えることが可能で、太陽の下、外で塗装やキャラクターラインなどをチェックするのに近いイメージで検査できます。わずかな歪みや塗装面のくすみ、映り込みまで計算されたボディですから、オーナーやドライバーが新型センチュリーに触れれば、自然と大事に扱うような気がします。

センチュリーには、約1か月かけて一つ一つ丹念に作られるフロントグリルの鳳凰エンブレムなど、多くの職人が携わっています。伝説上の瑞兆(ずいちょう)である鳳凰のエンブレムは、フロントグリルとほかのアルミホイールなどのエンブレムとデザインが微妙に異なるなど、装着場所によって異なる見え方に配慮するなど、細部にまで徹底したこだわりが貫かれています。

さらに本杢パネルに柾目(まさめ)を使い、木材の中心にあるまっすぐな柾目にこだわるだけでなく、数枚に分かれたセンターコンソールの木目やドアの木目パネルなどもきれいに揃うように配慮されるなど、サプライヤーも含めた多くの職人魂が込められ、1台1台ほぼ手作業で作られています。19,600,000円という車両本体価格は、リーズナブル、いやバーゲンプライスといえるのかもしれません。

(文/塚田勝弘 写真/水野孔男、塚田勝弘)

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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