トヨタ自動車の豊田章男社長から「クルマは耐久消費財として滅多にない愛がつく製品だ」と何度かお聞きしたことがあります。愛冷蔵庫、愛洗濯機、愛テレビとは言わないけど愛車というのは一般的に使う、ということです。
トヨタでは愛車の研究でわかったことがあるそうです。愛が付くモノの例として、「愛読書、愛犬、愛唱歌、愛社、愛馬、愛妻弁当」などがあると挙げてくれましたが、なぜ「愛妻」でなく「愛妻弁当」なのかという愛が付く「モノ」の例だからです。「妻」を愛するのは普通のこと、人じゃないのに愛着が湧くものということですね。
そしてその研究は、クルマもかけがえのないパトナーであるというトヨタハートプロジェクトが「ココロが動く、あなたが動く。」というキャッチフレーズで始まったのです。
その結果、クルマでないものにチャレンジする、生活者を中心にすると、コミュニケーションレスへの対策に社会的意義がある、などという答えが導かれます。
そして生まれたのが、いつも寄り添い、心を通わせるコミュニケーションパートナー「キロボミニ」が誕生しました。
キロボミニは、表情や仕草で反応し、少しずつ成長していくパートナーです。ユーザーには生まれたての未完成の状態で手元に届きます。
そのコンセプトは、「共感、共存、共鳴、共有、共育、共生、共創」することにあるといいます。
開発者で、MS製品企画部 新コンセプト企画室 主査の片岡史憲さんによると、
「息子が小さい頃はキャッチボールをやりました。5歳児の子供が取れるようにコントロールのいいボールを投げる、そして子供が投げるボールは必ず取ってやるぞ、という思いやりの心。それがキロボミニです。」
つまり、心のキャッチボールによって、いつも寄り添うことで覚えて成長するのがコミュニケーションパートナー「キロボミニ」というわけです。