トヨタは、愛知県豊田市の本社工場敷地内のエネルギー管理棟に定置式の純水素燃料電池を導入、9月12日より運転を開始しました。定置式の純水素燃料電池が商用として運用されるのは初の事例となります。
トヨタは、2015年から「工場CO2ゼロチャレンジ」の取り組みを進めており、今回本社内のエネルギー管理棟で、水素の活用を拡大してCO2排出量ゼロを目指していくことになります。
このトヨタのエネルギー管理棟に設置された純水素式燃料電池は、東芝が納入したもので定格出力3.5KWの能力を持っています。エネルギー管理棟の電力需給制御システムは、純水素式燃料電池に、太陽光発電とプリウスの使用済みバッテリーを再利用した蓄電池を組み合わせたシステムになっています。
このシステムでは、エネルギー管理棟で必要なエネルギー需要予測を行い、エネルギー効率の高い燃料電池を運転しながら、発電量が気象条件で変動する太陽光発電と蓄電池を組み合わせて、省エネとco2排出量の削減を両立したエネルギー供給を実現しています。
同時に、燃料電池から出る廃熱は空調に利用して、CO2排出量をさらに削減する工夫もしています。
純水素式燃料電池では、燃料電池セルに純水素を直接燃料として供給しているのが特徴。市販されているエネファームでは、都市ガス(またはLPガス)を燃料として利用していますが、都市ガスを分解して水素を生成して燃料電池セルに供給しています。
このため純水素式燃料電池では、都市ガスの分解装置が不要で、その分だけコスト削減と装置の小型化が可能で、短時間で起動できるというメリットがあります。
トヨタは水素を燃料とする世界初の燃料電池自動車「ミライ」を発売していますが、水素インフラの整備に伴って、今後いろいろな分野に水素の活用が広がってゆくものと期待されます。
(山内 博・画像:トヨタ、東芝)