2015-2016Car of the year(以下COTY)は、NDロードスターとなりました。
それを記念し、ファンの皆さんと祝おうというイベントが、ロードスターの故郷である広島のマツダ本社で開催されました。
と言ってもファンなら誰でも参加できるわけではありません。217組の応募者の中から抽選で55組90名の(ランダムに)選ばれしファンが集うミーティングとなったのです。ファンに滅多に見れないCOTYトロフィーを持ってもらって、一緒に受賞した喜びを分かち合おうというマツダらしいファンを大切にする発想のイベントです。
必ずしもNDオーナーとは限りません。その他のロードスターや他のマツダ車、もしくは他社銘柄でもロードスターファンはいらっしゃるようです。
そして、イベントに姿を見せてくれたのは、NDロードスター開発主査の山本さんとチーフデザイナーの中山さん。もはや、ロードスター関連で有名人。知らない人はいないでしょう。そりゃ、ファンもこのイベントには訪れたいはずです。
山本主査は、「COTYを獲得できたのは自分たちだけのものじゃない。こうして集まってくださるファンはもちろん、多くのサプライヤさん、販売に関わる方、そして、25年間作り続けてくれた大先輩の方々のおかげです」と。
ファンからの質問に答えるコーナーでは、まだ子供ながらこの会に参加している安本クンから「将来将来カーデザイナーになるにはどうしたらいいですか?」と質問があり、中山デザイナーは「野球の素振り1000回じゃないですけど、ズーッとクルマの絵を書き続けてください。それでイヤにならなかったらカーデザイナーになれるというか他にはなにもできなくなっているというか…(笑)」と、恐らく自身の体験からの半自虐的(?)な就職案内をしていらっしゃいました。
そして、一番遠くからの参加者は、偶然にもお二人とも千葉県から参加の女性です。
お一人が、クルマじゃない交通系で働いていらっしゃるという中川さん。昨年8月に4年ぶりの愛車となったNDはソウルレッドS-specialだそうです。
それまで、山道などでは後ろから続いているクルマの迷惑になってないか気が気でなかったそうですが、ロードスターではそれが皆無! 初めて買ったマニュアル車ですが、四葉のクローバーのようなインターチェンジでも「自分の腕以上にどんなスピードでも走れそう!」と思ってしまうくらい、自由自在に操れる感覚がお気に入りとのこと。以前乗っていたコンパクトカーに比べ、乗り心地のよさも格段に違うようです。
運転のコツは、山本主査に教わった「屋根を開けて走ること」だそうです。
中川さん、しっかり自分でNDのミニチュアカーを持参して、ちゃっかりお二人にサインをもらってました。そのミニチュアのケースの内側に、中山チーフデザイナーはロードスターのアウトラインを描いてもらって、すごいプレミアムミニチュアになっていました。ファンのみなさん、羨ましいでしょう。
中川さんは、本日お仕事の合間を見て飛行機で来広されてますが、こちらの伊藤さんは愛車NDとともにやってきました。出版社にお勤めだそうですが、んん?見たことあるような気もします。
伊藤さんが購入されたのはなんとNR−Aでロールケージ入り! 先日バレンタインデーに納車されたばかりだそうです。これまでレースの経験があるわけでもなく、ロードスターで目覚めたようです。
まずはマツ耐(マツダ車オーナー向けの参加しやすい耐久レース)に出て、ゆくゆくはロードスター・パーティレースに出場したいとのこと。目標は優勝!と笑いながら語ってくれましたが、まだ、ロードスターを購入したのは社長と編集長くらいにしかお話ししてないとか。ぜひ、周りも巻き込んでやっちゃってください。
どうやらこちらの女子2名は、ロードスターの走りの楽しさに惚れてしまったようです。
クルマの楽しみは人それぞれと思いますが、走りを楽しめるのは基本中の基本。男だろうが、女だろうが、年取っていようが、免許取立ての若者だろうが、それが気持ちいいと感じるのは変わりないはず。
自動車メーカーのみなさん、若者のクルマ離れとか、女性にウケるクルマとかへの対策は、この辺にヒントがありそうですよ。
マツダ広報本部長の工藤さんは、温泉に行くのに運転が大変なクルマで行くと、温泉で癒されるのがプラマイゼロになるけど、運転が楽しいクルマで行けば温泉で癒されるのにプラス楽しみも残る、という持論を展開していましたが、まさにその通りのクルマになっていると思います。日本を代表するジャーナリストのみなさんも、その辺を理解して高得点を投票したのではないでしょうか。
中山チーフデザイナーは「ホンダS660があったからこそ、スポーツカーが盛り上がって獲得できたCOTYだった」と感想を述べていました。やはり、キーワードは運転の楽しさ、にあるのではないでしょうか。スポーツカーに限らず、すべての日本のクルマがなんらかの形で運転を楽しめるクルマになっていくことに期待が持てそうです。
(clicccar編集長 小林 和久)