水素の液体化で体積500分の1に! FCV(燃料電池車)に革命!!

FCVの発売を2015年に控え、インフラ整備が進む中、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)やHySUT(水素供給・利用技術研究組合)との共同事業で「千代田化工建設」が水素の取り回しを画期的に向上させる技術を開発した模様。

FCV 01

日経新聞が伝えたもので、水素を液体化して体積を500分の1に縮小、常温・常圧で貯蔵や輸送が可能になるそうです。 

国際的にも既に注目を集めているようで、水素をガスの状態で500分の1にするには500気圧の高圧ボンベに詰める必要が有りますが、「MCH(メチルシクロヘキサン:C7H14)」化すればガソリンと同じように扱える模様。 

技術的には水素と有機溶剤のトルエンを化学反応させることでMCHを生成。

水素をトルエンに結合させる技術は以前から確立していたそうですが、これまで実用化されていなかったのは、MCH化した水素を再びガス状に戻す「脱水素化技術」が確立できていなかった為。

 FCV 02

千代田化工建設では2002年から脱水素化技術に取り組み、10年がかりで実用化の目処をつけたそうです。

脱水素化には自動車用の排ガス浄化装置と同様の白金触媒を利用。触媒は劣化しても回収して再利用が可能。 

1nm(ナノメートル)まで小さくした白金をアルミナ上に吸着させているのがポイントで、他にも各種工夫がなされており、容易に真似が出来ない技術と言います。 

物流上は産油・産ガス国で天然ガスや石油の随伴ガスから水素を生産後、MCH化してタンカーで消費国へ輸送。 消費国で液体貯蔵したMCHを随時触媒で分離して水素を取り出し、化学工業や発電、FCV用に供給する流れに。

将来的には風力や太陽光など再生可能エネルギーを使って水素を生産して利用、CO2を排出しない低炭素社会づくりに繋げたいとしています。 

今回の開発は「如何にして水素を大量に効率良く貯蔵するか」が主題だったようで、同社のデモ用プラントには国内外からの見学者が絶えない状況。 

FCV 03

この技術はIEA(国際エネルギー機関)も「他に無い技術」と高く評価しているそうで、同社は今後3年以内にサプライチェーン(産油国・商社・海運会社・化学会社)を組んで事業化を目指すようです。 

将来この装置が大幅にコンパクト化されて水素供給ステーションでも同様の脱水素処理が可能になればインフラ拡充にいっそうの弾みがつくことになりそうです。

(出展 千代田化工建設)

■千代田化工建設 Webサイト
 http://www.chiyoda-corp.com/index.html 

■NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)
  http://www.nedo.go.jp/ 

■HySUT(水素供給・利用技術研究組合)Webサイト
  http://hysut.or.jp 

〔関連記事〕
・GMとホンダが次世代燃料電池システムを共同開発へ!
 https://clicccar.com/2013/07/03/224485/ 

・FCVの国際安全基準に日本案が採用される !?
 https://clicccar.com/2013/06/25/223622/

・経産省がFCV(燃料電池車)の保安基準整備を1年前倒し!
 https://clicccar.com/2013/05/29/221416/ 

・究極のエコカー「燃料電池車」の時代は実はすぐソコまで来ている !
 https://clicccar.com/2013/05/08/219216/ 

・トヨタ・ホンダなど「FCV(燃料電池車)」を500万円以下で次々発売 !
 https://clicccar.com/2013/04/09/217319/ 

・「本当の低公害車」を考える!地球に最も優しいシステムとは?
 https://clicccar.com/2013/04/01/216759/ 

・燃料電池でダイムラーとルノー・日産、フォードが提携、2017年に量産FCVを発売
 https://clicccar.com/2013/02/22/213602/ 

・トヨタとダイムラーが予定するFCVの壮大な普及計画が判明 !
 https://clicccar.com/2013/02/13/212741/  

 (Avanti Yasunori) 

【画像ギャラリーをご覧になりたい方はこちら】  https://clicccar.com/?p=228146

この記事の著者

Avanti Yasunori 近影

Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
続きを見る
閉じる