アコード・ハイブリッドの30km/L、アコード・プラグインハイブリッドの複合燃費70.4km/Lはインパクト大ですよね。プリウスでさえ燃費スペシャルの「L」で32.6km/L、最大のライバルであるカムリ(ハイブリッド)は23.4km/Lですから大きくリードしています。
しかもアコードHVの30km/Lは、乾いた雑巾を絞るようにしてひねり出した燃費でもないそうで、日本とアメリカ向けのハイブリッドシステムはもちろん、諸々のセッティングも同一だそうですから、もしJC08モード燃費だけを追い求めればまだ伸びた可能性もあるはず。
しかも、出力をケチケチに絞って燃費を出しているスペシャルモデルではないことは、乗るとすぐに分かります。そう、面食らうほど速いんです!プッシュボタンを押すと、従来の1モーター式「IMA」ハイブリッドのようにすぐにエンジンが始動することはなく、クリープ状態ではもちろん、普通に走り出す分にはEV走行のままです。
そこからさらにアクセルを踏み込むと、エンジンで発動した電気でモーターを駆動し、それでも足らなければバッテリーからも電気が供給される「ハイブリッドドライブ」モードになります。
速さを感じさせるのはこの領域で、信号グランプリでのスタートダッシュはヘタなスポーツカーを置き去りにすること間違いなし!
この時のフィーリングは、モーターらしいシームレスなもので、エンジンも仕事をしていますから内燃機関らしい加速感も合わさっています。ですが、従来の「IMA」はエンジンが主役だったのに対し、完全に主役が交代してモーターの存在を強く感じさせます。
アコードHV/PHVの特徴であるエンジンと直結したクラッチは、EV走行時やエネルギー回生時は切り離されていますが、80km/hぐらいから上の領域でエンジンの低負荷時には、エンジンのみで走った方が効率がいいため、純粋なガソリンエンジン車になる場合があります。
この際の切り替わりは、もうこの速度域ですからほかのロードノイズや風切り音がすることもありエンジン始動の音も振動も気になるものではなく、メーターのエネルギーフローを見ていないと分かりません。しかも、この速度域でも頻繁にEVマークが点灯しますから、EVの仕事量も多いことが分かります。
街中から高速域まで存分に速さを見せてくれるアコードHV/PHVですが、アクセルレスポンスがこちらもまた驚愕ものの応答ぶりで、瞬時に反応するためストップ&ゴーの多い市街地では逆に扱いにくいほど。
そこで、燃費重視モードのECONボタンを押すと街中ではかなり扱いやすくなります。それでも十分に速いですからストレスフリーなわけです。
(塚田勝弘)