先日、官公庁オークションでフェラーリカリフォルニアが自動車では過去最高額の約2280万円で落札されたことがニュースで報道されていました。
私はこのニュースを見て「こんな高い金額で落札しちゃった人がいたの?」と不思議に思ってしまいました。なにしろカリフォルニアの新車価格は2360万円。オークションの出品車が走行距離206kmのほぼ新車状態とはいえ、この価格では安いとは思えません。
この走行距離と同じような中古車は現状では見当たりませんが、この価格より安い中古車も何台かは中古車販売店で売られています。
もちろん即納車だったり、新車を買うよりは購入費用が抑えられるメリットはありますが、官公庁オークションは完全なノ―クレームで保証も付かないので、高額車を買うのにはリスクがあるでしょう。走行206㎞ならトラブルはないとは思いますが…。
もし私がこの金額を出せるとするなら、官公庁オークションではなく信用できる中古車販売店かコーンズの中古車を買います。
と、断言してしまうのも、私が友達の中古車屋さんから、とあるエピソードを聞いたことがあるからです。私の友達の中古車屋の同業者が数年前に税金が払えなくなってしまい、とうとう店に置いてあるクルマが差し押さえられて、公売オークションに掛けられてしまいました。
でも、その中古車はATに不調の兆しがある輸入車で、とても店頭では販売できないようなクルマでした。ところがオークションが始まると、予想以上に価格が上がり、結局は店で売るよりも高く売れてしまったのです。その結果、滞納している税金を上回ってしまい、中古車屋にはその分の差額が戻されることになりました。当然、その中古車屋は大喜びしていたようです。
実際、今回のそのほかの公売オークションの自動車を見ても落札額は結構高く、買い手のメリットはあまり見えてきません。この価格でノ―クレームの中古車を買うのはハッキリ言って超リスキーです。
おそらく買う人は官公庁がやっている公売オークションだから安心だと思って、一般の人が高い金額で買っているケースが多いと思います。でも、実際は逆だと私は思います。公売オークションの検査員が、どこまでクルマの善し悪しを見抜けるかも疑問ですし、税金を払えないほどひっ迫した人が所有していたクルマが、キチンとメンテナンスされている可能性も低そうです。それに普通の中古車販売店なら、たいていは数カ月の保証が付いています。
公売オークションも下見の機会が設けられていますが、一般の人が下見をしたとしても機関的な不調まで見抜くことは難しいでしょう。もちろん激安価格で落札できるなら勝負してみる価値はありますが、中古車販売店よりも少し安い程度の価格なら止めておいたほうが無難です。
(岡島裕二)