クラス2位ながら国産勢トップでゴールしたスバルチームの舞台裏【ニュルブルクリンク24時間レース】

2008年よりニュルブルクリンク24時間レースに6年連続出場しているSUBARU STI NBR チャレンジチーム。昨年はSP3Tクラス優勝2連覇を成し遂げ、今年は新たに製作したマシンでクラス3連覇を狙いレースに挑みました。
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辰己 英治総監督率いる今年のNBRチャレンジチームにはチーフドライバーにベテランの吉田寿博選手、SUPER GT でもSUBARUのドライバーとしてBRZを駆るNBR3年目の佐々木 孝太選手、NBR4年目となるカルロ・ヴァン・ダム選手、新人のマルセル・ラッセー選手がWRX STIのステアリングを握りました。

今年から新たにSTI NBR チャレンジチームに加わったマルセル・ラッセー選手は昨年までチームに所属していた故マルセル・エンゲルスの幼なじみ。ラッセー選手が「今回三連覇を果たして、不慮の事故で他界した彼に捧げたい」と話していたのが印象的でした。
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日本時間の5月18日 2時35分より予選1が開始。ナイトセッションも熟す4時間にわたる予選1では10:00.777をマークしSP3Tクラストップタイム。
続く同日18時20分から開始された予選2ではスタート直前に電気系トラブルが発生したものの、9:13.083という予選1を大幅に超えるタイムをマーク。しかしライバルである111号車Raeder Motorsport アウディ TT-RSが9:07.900という驚異的なタイムを叩き出し2番手となります。
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そしていよいよ5月19日24:00に決勝スタート。スタートドライバーは吉田 寿博選手。走行開始後すぐに9:48.995をマークしクラストップに躍り出ます。コース上には小雨が降り、スタート直後からクラッシュやコースアウトが続出する混戦となり、再びライバルのアウディにクラストップの座を奪われてしまいます。

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その後WRX STIは予定通り9LAPを走行。2番手の佐々木 孝太選手がステアリングを握ります。その後も大きなトラブルもなく順調に周回を重ねるWRX STIですがコース上ではガードレールの補修工事などがおこなわれ、依然イエローフラッグ区間も多く、NBR24hのルールではイエローフラッグが2か所以上出ている区間では60km/hの速度制限となり、思うようにアタックできない状況でした。

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レース開始3時間が経過し、ドライバーは3番手のマルセル・ラッセー選手へ交代。途中天候が悪化し路面コンディションがウェットとなったため23周目にインターミディエイトタイヤへ交換。徐々に強まる雨の中28週目にカルロ・ヴァンダム選手へ交代します。レース開始5時間が経過するあたりで激しさを増した雨によりタイヤのグリップが低下したためインターミディエイトからレインタイヤへ交換。その後は激しい雨の中慎重に周回を重ねるもののコース上は所々川のように雨水が流れ、霧が発生している区間もあり視界の悪い中STIチームは慎重に周回を重ねます。

しかし6時間が経過したところで遂に荒天のために赤旗中断。この後9時間にも及ぶ中断が続きました。

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レースが再開されたのはレース開始後16時間が経過した日本時間の15:00。依然として雨は降り続いており、緊迫した再スタートとなりました。ドライバーは引き続きヴァンダム選手。大荒れのニュルを安定した走りでクラス2位をキープ。徐々に天候が回復し18時間が経過したところでレインタイヤからインターミディエイトへ交換したWRX STIとともに吉田選手が2度目のスティントに出て行きます。レースが17時間を経過しようとする頃、ライバルの111号車のRaeder Motorsportは 総合21位で45週目タイムは11:36.486。一方STIチームは 総合38位 43周目タイムは12:03.567と大分引き離されていました。

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レースも終盤となる19時間が経過する頃、次第に雨は弱まりつつありSTIチームは佐々木 孝太選手へ交代すると共にスリックタイヤを選択し、勝負に出ます。佐々木選手がコースへ出るとともに猛アタックを開始。所々まだ路面の濡れている状況で57週目に9:31:045という驚異的なタイムを叩き出し周回遅れを挽回!STI NBR チャレンジ公式USTREMのソーシャルストリームも大いに湧き上がります。その後もSTIチームの追い上げはとどまることなくラッセー選手へ交代した後も9分台を連発。3連覇を亡き友に捧げると言った言葉通り、ラッセー選手の気迫の走りで先行する111号車を追い詰めて行ます。
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ラスト1時間、最後のドライバーヴァンダム選手にWRX STIを託します。最後まで攻めの姿勢を崩さず、勝利を諦めることないSTI NBRチャレンジチームは77週目に9:22:911というクラス最速タイムをマーク!その後もトップとの差を詰め続けるものの、ファイナルラップ直前に燃料不足の恐れがあるため緊急ピットイン。その後も諦めることなくファイナルラップまで攻め続けたSUBARU STI NBR チャレンジチームでしたがクラストップに一歩及ばずクラス2位、総合26位という結果に終わりました。

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結果だけ見れば残念ながら3連覇とならず、クラス2位でしたが、その舞台裏にはSUBARUの意地を世界に見せつけた感動のドラマがありました。その証拠に一時は2周差、7分まで開いていたトップとの差はゴールの時点でわずか54秒にまで縮まっていたことが物語っています。

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総合26位という成績はNBR24hに参戦している国産車勢最上位。さらに昨年より2ランクアップも果たしています。SUBARU STI NBR チャレンジチームは荒天の中でもSUBARUの誇るシンメトリカルAWDの高い走行安定性とチームとファンの”心”を一つにしたチームワークを今年も世界にみせつけました。またSUBARUファンのSTIチームへ想いもUSTREAMへの熱い応援メッセージが物語っています。ちなみにSTI NBR チャレンジ USTREAMへの5月20日分のツイート数7794(5/20USTREAMランキング 1位)、ツイート人数1178(5/20USTREAMランキング1位)瞬間最大視聴人数6058人(5/20USTREAMランキング2位)というカタチで記録されています。

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今年のSUBARU STI NBRチャレンジチームの戦いは、まさしく記録より記憶に残るレースだったと言えるでしょう。また来年も心機一転、連覇に向けてSUBARUファンに感動の戦いを見せて欲しいと感じました。

 (井元 貴幸)