■輝きを増した新色「ギャラクティックWRブルーメタリック」も目を引く
惜しまれつつも名機EJ20エンジンと共に終焉を迎えたVAB型WRX STI。SUBARUのスポーツフラッグシップに君臨するモデルとして、その走りのスピリッツは、ひとまずWRX S4が受け継いでいます。
WRX S4は圧倒的なハイパワーを誇る直噴ターボ水平対向エンジンを搭載しつつも、2ペダルでアイサイト ツーリングアシストという先進の運転支援システムを備えることでイージーにスポーツ走行を楽しめるモデルです。
このWRX S4にSTIが専用の内外装と足回りを与えたモデルがSTI Sport。その魅力は既に多くのユーザーからも支持を受けており、現在はWRXシリーズの最上級モデルに君臨しています。

今回東京オートサロン2020に出展されたWRX S4 STI Sport GTコンセプトは、WRX S4 STI Sportのもつ快適性と安全性はそのままに、より気持ちよくグランドツーリングを楽しめることを狙ったコンセプトモデルです。

エクステリアではなんといっても目を惹くのが、ギャラクティックWRブルーメタリックというボディカラー。第3世代のWRブルーとして新たにSUBARUが提案する特別塗装色で、SUBARUらしさを象徴する星空の輝きを見事に表現した煌びやかな車体色です。このボディカラーはあくまで参考出品とのことですが、会場での反応が良ければ市販化も検討するそうです。

このボディカラーを引き立てるのがグロスブラックに塗装されたSTI製エアロパーツ群。STIコンプリートカーであるS207やS208、WRX S4 tSといったスペシャルモデルにも通じる上品な印象を与えています。

他にもカーボン製の大型ウイングやトランクリップスポイラー、BBS製鍛造19インチホイールなどのスペシャルアイテムが多数装備されています。

インテリアはRECARO製のスポーツシートが目を惹きますが、こだわりは室内のトータルカラーコーディネート。全体をシックなモノトーンにまとめ、シートの色使いも従来のSシリーズと異なりシートがガラスを通した社外から見える印象も含めて考えられているそうです。

このカラーコーディネートはWRXの走りを追求した性能を引き立てる秘密も込められていて、モノトーンでまとめることで、運転中に視界に入る情報を必要なものだけに絞り、運転に集中できるようにしたという狙いもあるとのこと。

全体をシックにまとめながらも、ドアを開けた時の鮮烈な印象を受けるよう、サイドサポート部のファスナーにレッドを添えたアクセントとRECAROロゴを配置。この演出はとてもおしゃれな印象を受けました。
●フレキシブルリヤドロースティフナーでリヤの追従性アップ

さて、気になる走りの部分ですが、STIの手掛けるコンプリートカーの最高峰であるSシリーズを超える乗り味を目指し、フロントブレーキにはWRX S4でははじめてブレンボ製6POTキャリパーを採用。圧倒的なストッピングパワーでS4の走りを支えています。

さらに、注目はなんといってもS209で採用された「フレキシブルリヤドロースティフナー」の採用。すでに好評を博しているフレキシブルタワーバー、フレキシブルドロースティフナーでフロントまわりを引き締めていますが、GTコンセプトではリヤの追従性にもこだわり、フレキシブルリヤドロースティフナーを採用したそうです。

このフレキシブルリヤドロースティフナーは、トランク内部に積載物がある場合に荷崩れなどでスティフナー本体が損傷しないようガードバーも装備。トランク側から覗くとガードバーに守られているため、本体が見えない構造になっているのがわかります。

Sシリーズを超える乗り味とS4のもつグランドツアラー性能を徹底的に磨き上げ、特別な内外装を与えたWRX S4 STI Sport GTコンセプト。ぜひとも市販化を期待したい仕上がりの一台です。
(Text & Photo 井元 貴幸)