シリコンバレーで生まれたテスラモーターズは、まさしく現代のクルマ作りの申し子といえる存在です。従来のクルマの部品点数は、2万〜3万点ともいわれていますが、開発費も期間もノウハウも膨大になるエンジンが不要。トランスミッションも不要にできるなど、EV化すると一般的には1/3くらいまで減らせるといいます。
とはいえ、EVはどこでも誰でも作れるという話と、ビジネスとして成立するかは別次元の話で、アメリカ政府が多額の融資をしたフィスカー・カルマは破産寸前だといいます。一方のテスラは、トヨタともEV分野の業務提携を結び、さらにテスラ・ロードスターに続き、2モデル目となるモデルSを日本など世界中に展開。アメリカのベンチャー系EVメーカーの象徴は、明暗がはっきりと分かれています。
さて、欧米では昨年夏から発売されているモデルSは、5人乗りの5ドアハッチバックで、見た目は写真から想像するよりもなかなかスポーティです。このモデルSを試乗する機会に恵まれましたので、今回の外装編から数回に分けてご報告したいと思います。まずはエクステリアから。
ボディサイズは全長4978×全幅1960×全高1435mmで、メルセデスのSクラスとEクラスの間くらいと日本ではかなりの大型。リヤは独立式のトランクではなく、パナメーラのようなハッチバックの5ドアで、開けると大開口が広がります。
ボディは軽量化を図れるアルミニウム製で、ルーフもアルミニウムを使っていますが、リチウムイオン電池を床下に敷き詰めていることもあり、車両重量は2108kgと2tの大台を突破しています。
フロントマスクは、自動オンオフ式ハロゲンヘッドライトやLEDの常時点灯ライトが先進的な表情を作り出していますが、意外とクセがなく、日本の街中にも溶け込む印象です。クルマ好きから熱視線を浴びることがあっても、そうでない人には良くも悪くもどこかの高級サルーンにしか見えないかもしれません。
足元は19インチアルミホイールとグッドイヤーの「イーグルRS-A2(245/45R19)」が標準ですが、オプションで21インチアルミホイールを用意。21インチのタイヤは、コンチネンタルの「エクストリーム・コンタクトDW(245/35R21)」になります。
とくに外観で目を惹くのが、ドアのアウターハンドルが見当たらないサイドビューで、こちらはクルマを「起動」させるとハンドルがせり出してくる形状になっています。
日本では、2013年下半期に左ハンドルから納車し、2014年に右ハンドルを納車開始予定で、参考価格は60kWh仕様が69,900USD(アメリカドル)、85kWhが79,900USD、85kWh Performanceが94,900USDで、日本では圧倒的に右ハンドル待ちという方が多いようです。
■テスラモーターズ
http://www.teslamotors.com/jp
(塚田勝弘)