衆院選での自民党圧勝に伴い、安倍総裁が掲げる金融緩和強化への期待で早くも株高/円安傾向が加速しています。
日経平均株価は欧州の債務問題や円高進行などで今年6月には年初以来の安値となる8295円まで下落。その後も米中景気への懸念などで8600円台~9200円台を行き来するいわゆる「レンジ相場」が続きました。
しかしながら米国の大型減税の期限切れと歳出削減が重なる「財政の崖」への警戒感が薄らいだことや、中国の景気に回復傾向が見られるなど、懸念材料が減ったことで株価が上昇傾向に転じ、さらに新政権による金融緩和政策への期待も手伝って約8ヶ月半ぶりに1万円台を突破しています。
トヨタ自動車の株価を見ても12月19日現在の終値が月初の3500円台から一気に3850円まで上昇しました。
また、ドル相場は1ドル84円台まで円安傾向が進んでおり、2ヶ月前の78円台と比較すると既に7%程度円安となっています。円安が進めば日本からの輸出が有利となり、海外への生産工場移転に歯止めをかけれる為、国内雇用の安定に繋がります。
今回の選挙で自民党と公明党で法案再可決が可能な320議席を上回る325議席を獲得したことや安倍総裁が慢性的なデフレ脱却に向けてインフレターゲット(物価目標)を2%に設定、「アベノミクス」に象徴される強力な金融緩和を日銀に求めたことで株価の上昇に弾みがつき、景気の回復に向けて効果が現れ始めています。
一方で自動車業界にとっては今後、対中政策に於いて安倍政権が中国との関係を如何に上手く纏めることが出来るかが課題となりそうです。
おりしも12日17日に日本自動車工業会の豊田会長が「我が国は喫緊の課題が山積しており、一刻の猶予も許されない状況。国民や企業は、厳しい環境の中、ぎりぎりのところで懸命に頑張っており、新政権では努力した人が報われる社会を築いて欲しい」と強く要望するなど、前政権の対中外交の拙さが現地の自動車販売に与えた多大な影響や、自動車ユーザーに過度にのしかかるアンフェアな自動車関連税の早期見直しなどの課題が目白押し。
安倍政権に期待して株価が上がったり、円安になったり、自動車産業にとって良い話も有る反面、長引く未解決問題に対しても早急になんとかして欲しいというのが自動車メーカーやユーザーの本音ではないかと思われます。
【写真ギャラリーをご覧になりたい方はこちら】https://clicccar.com/?p=207599