笹子トンネル事故で判明した高速道トンネルに潜む危険性!

1977年12月に開通して以来、35年が経過した時点で発生した中央自動車道上り線笹子トンネルの天井崩落事故で9名もの尊い命が奪われることに。他の管轄区域では行われていた重要な点検項目が同トンネルでは実施されていなかったと言います。

笹子トンネル 天井換気構造

高速道路は日頃、多くの自動車ユーザーが利用するだけに他人事では済まされません。
崩落した天井板は1枚が幅5m、奥行き1.2m、厚さ80mmで重量約1.2トンもの重量物。
今回130mに渡り、約330枚もの天井板が落下したと言います。

しかも左右2枚一組のぶ厚いコンクリート製天井板の中央部をトンネル頂上から吊り金具で吊り下げていると聞いて筆者も大いに驚いた次第。

笹子トンネル 天井吊り下げ構造

そもそも今回崩落した天井板はトンネル内の換気経路を上部に設けた為に必要となる構造部材。天井板の両端がトンネル内壁に固定されているとは言え、中央の吊り金具がトンネル内壁頂上から抜けてしまえば落下するしか無い構造。

一方、近年のトンネルには天井板が無く、大型ジェットファンを数箇所に設けて換気・排煙する構造。一見、安全そうですが、よく考えればこれも相当な重量物を天井にぶら下げている訳で、日頃の点検を怠れば、今回同様の事故が起きないとも限りません。 

近年のトンネル/笹子トンネル構造比較

今回もそうでしたが、トンネル内で事故が起きて車両火災が発生すると、排煙が追いつかずに煙に巻かれて視界や酸素が失われる為、非常に危険な状況に。山中だけに脱出もままなりません。特に天井が同構造の恵那山トンネル下り線などでは全長が約8.5kmにも及ぶ為、尚更です。 

同構造トンネル一覧

<FNN公式YOUTUBEより引用>

コンクリートの耐久年数が40年から長くて50年程度と言われる一方で、公共事業拡大で生まれた数々の高速道路のトンネルが開通後、40年近く経過しており、既に老朽化が問われる時期にさしかかっています。

 ご存知のとおり日本は地震大国。トンネル内でもし大地震が発生したら、それこそ老朽化と相まって雨あられと天井板が崩落する可能性も。トンネルの定期的な補修・補強作業は勿論のこと、日常の検査手法の見直しも急務でしょう。場合によっては天井も安全な構造にリフォームが必要かもしれません。

安全確保の為に必要な経費を十分投じて確実に作業を遂行して頂くとともに、比較的新しいトンネルについても重量物であるジェットファン吊り下げ部などを今一度再点検するなど、高速道路の安全維持に努めて頂きたいものです。

■国土交通省 報道発表資料
  http://www.mlit.go.jp/common/000231639.pdf

 (Avanti Yasunori

この記事の著者

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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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