日産のハイブリッドシステムといえば、すでにフーガなどで実用化している1モーター・2クラッチ式です。これはエンジン・クラッチ・モーター・トランスミッションという具合にレイアウトすることで、エンジンとモーターを走行中に完全に切り離すことができるのが特徴。
その1モーター・2クラッチのハイブリッドシステムにニューフェイス、コンパクトカーにも対応可能なFF用システムが発表されました。
日産の1モーター・2クラッチ式ハイブリッド、横置きFF用のシステムは2011年にも発表されていますが、その段階で提示されたのは2.5リッタースーパーチャージャーエンジンにモーターをプラス、さらに大トルク対応のチェーン式CVTを組み合わせたというものでした。
このハイパワー型FFハイブリッドシステムは、3.5リッター相当のパフォーマンスを発揮することが狙いで、まさに3.5リッター級V6エンジンのダウンサイジングを意識したものといえます。
一方、2012年に新たに発表されたFFハイブリッドシステムは2.0リッター直噴エンジンを基本としたもの。そこに1モーター・2クラッチを組み合わせ、またCVTは一般的なベルト式となっています。
さらに、このハイブリッドシステムはコンパクトカーにも展開可能といいます。つまりアフォーダブルな価格で実現できることを目指しているというわけです。
あらためて整理すれば、1モーター・2クラッチ式ハイブリッドの作動シーンは、主に4パターンあります。
ひとつは発進時などの、モーターだけで駆動する状態。このときモーターとCVT間のクラッチだけをつないで、エンジンは切り離している状態になっています。
全開加速時には、エンジンとモーター間のクラッチをつないで、エンジンとモーターの出力をタイヤに伝えます。
走行中にバッテリー残量が少なくなった場合には、同じように2つのクラッチがつながっていますが、モーターはエンジンの力によって発電を行ないバッテリーへ電気を送ります。
そして減速時には、エンジンとモーター間のクラッチを切り離し、タイヤからの減速エネルギーをモーターだけで受け止め、効率的に発電を行ないます。
このように、基本的に走行時にはモーターとCVT間のクラッチはつながっていて、必要に応じてエンジンの力をプラスするというのが日産1モーター・2クラッチハイブリッドの仕組み。
なお、バッテリーはハイブリッド専用のリチウムイオン二次電池を採用しているといいます。
将来的には、プラグインハイブリッドや四輪駆動への発展も考慮されているという、日産の横置きハイブリッドシステム。2013年に北米市場へ投入されるのを皮切りに、グローバル展開する予定ということです。
(山本晋也)