【MONDAY TALK by 星島浩】 クラウン系と別れて生まれ変わった新型レクサスGSを採り上げる。
スピンドルがテーマのフロントグリルを、今後、新型レクサスごとに採用するそうで、早速マイナーチェンジ版RXにも展開した。
さて、日本版初代GSの元は2代目アリスト。従来トヨタ車と一線を画した一種ヤクザっぽさ、よく言えばイナセな雰囲気が好きで、複数保有の1台にしようと決めていたのに、日本版レクサスGSに化け、近くの1号店で見たら、内外装に高級かつ豪華感が加わった代わり、ベランメェ調が消え、えらく値段が高くなったほか、肝心の直6ツインターボも存続が危ういと知って、買うのを諦めた。
新型GSは350と250を2月に横浜周辺で。450hは4月半ばにRXシリーズと同日、新東名高速と箱根で試乗した。
普及機種? のGS250は感心せず。350との価格差は70万円だが、静粛性と乗り心地で劣るほか、排気音魅力も足りない。
新しいレクサス顔は一種ヤクザっぽさを想わせて「わるくない」と気に入ったものの、GSにふさわしくても、より高級感、格調が求められるLSとなると、賛否両論があるかもしれない。
そのGSも、顔は良しとして後ろ姿にイナセなイメージはない。
気に入らないのはリヤサイドドアの開口形状だ。BMWは以前から。今はベンツも追従している。後席乗員の頭部出し入れ性と視界に配慮した窓ガラスをそのまま、ベルトライン以下のドアを真っ直ぐ裾まで引っ張ってくればよかった。Cピラー側のキャッチャーを斜面に設けなければならず、BMWやベンツの真似だと言われるのもイヤだっだのだろうが、ユーザーに便利なら「ドア開口形状がBMWやベンツに似てるのがイヤで買いたくない」と敬遠する人がいるかしら?
内装は250も革仕立て。シートは総じて表皮が硬め。形状と大きさは良し。もうちょいクッションに厚みを感じさせてほしかった。余談ながら夏に乗ったBMW640iグランクーペとシトロエンDS5の革シートは感触がソフトで、素材や縫製まで「デザイン」してる。
インパネは正面の自発光式アナログ時計かご自慢。奥まったナビが読みやすいのはいいが、正面の計器はもっと明るく見せるべし。
これは魅力的だと、心を奪われたのは450h上級機種のステアリングホイール—-製作工程が解る展示があり、高知県産3年物の孟宗竹(もうそうちく)を薄く成形し、貼り合わせてホイールを削り出す。触感が素晴らしく、ヘタなウッドリムなんか問題じゃない。もっとバンブーリム部分を増やすとよろしい。450hに限らず、大いに売り出すが良し。内装に多用した竹パネルも上品で従来にない雰囲気を醸し出していた。
走りについて私が高評価したのは450hと350スポーツの4輪ステア—-フルタイム四駆と後輪転舵システムは約20年前クラウン系に存在したが、今回のGSほど運転していて違和感がなく、優れた機能を具えてはいなかった。据切りで後輪が転舵しないのは、壁などにぴったり駐めた際、発進に困るためだが、走り出せば低速域で逆位相に最大2度まで切れ、トレッド拡幅にも関わらず「大丈夫かな」と案じた一般路で楽にUターンできたし、専用路で些かえげつない旋回を試みたところ「委細承知!」とばかりに同位相転舵して後輪ブレークを抑える。それを<、わざとらしくなく、平然とやってのけた。突然の集中豪雨に直進安定を保っていたのも後輪転舵機能だったかもしれない。
これも余談だが、追突防止や安定姿勢制御—-各種あるが、マンマシンとして自動車が目指すべき本来は4輪駆動・4輪操舵ではないか?
ただし新型GSの四駆は6速ATの350のみで後輪転舵せず。
450hはFR版ハイブリッド=THS IIの無段変速—-感心は静粛性・乗り心地と操縦性・安定性の両立だ。アウトバーン160㎞/h走行こそ試しようがないが、ベンツEクラスやBMW5シリーズを凌ぐ日本の上級セダン出現。むろんGS450HバージョンLに限る。
1840㎜の全幅。ほぼ900万円の価格。ライバルはフーガHVか新型シーマかしら。動力性能ではGSが負けそうだが——。★