パドルシフト付き1.2TSI The Beetle(ザ・ビートル)試乗記 !

6月1日に日本発売となった新型「The Beetle」1.2TSIに試乗する機会を得たので早速レポートしてみたいと思います。試乗車のグレードは「Design レザーパッケージ」です。

まず外観ですが、先代モデル比で全長が+140㎜、全幅が+80㎜、全高が‐5mmとなり、見た目にワイド&ローでスポーティなプロポーションとなっています。先代のファニーな雰囲気が薄れて初代ビートルの正常進化版とも言うべき、男っぽいデザイン。

そしてエンジン・フードを開けてみると、現行ゴルフやポロにも搭載のコンパクトな1.2TSIエンジンが収まっており、広大なエンジンルームとの見た目のギャップに少々驚かされます。本国でラインナップされている2.0L 200psエンジンの影響でメンテナンス・スペースは余裕十分。

 

新型では日本向けが最初となる7速DSGミッションが組み合わされており、加えて上級グレードの「Design レザーパッケージ」にはパドルシフトが装備されています。元気の良い1.2TSIエンジンを7速DSG+パドルシフトで楽しめるのは今のところ、このモデルだけで、ゴルフやポロの1.2TSIモデルにも設定が無い希少な仕様。

 

今回の試乗では「Design レザーパッケージ」ならではのパドルシフトを試してみることに。
ステアリングから手を離さず、間髪入れずにタイムリーにシフトできるのはやはり便利。
高回転まで十分に引っ張ってからスパッとシフトアップするのは結構痛快です。

[youtube width=”560″ height=”405″]http://www.youtube.com/watch?v=99BzygqfDaE

ボディの大型化に伴って車重が先代比で30kg増の1280kgとなり、ゴルフ比で+10kg、更にポロ比では+180kgと、1.2TSIでは少々荷が重いのでは?と予想していましたが、どっこい、その走りは相変わらず活発な印象。ブレーキのタッチも非常に良く、効きの方も強力でした。

 

1.2TSIエンジンは1500rpmから最大発生トルク17.8kg・mを発揮、それが4100rpmまで持続するので扱い易く、且つスポーティに感じます。同エンジンを積む3車間でトルク・ウエイトレシオを比較すると、新型が71.9、ゴルフⅥが71.3、ポロが61.8となり、加速性能はほぼゴルフⅥ並みということに。(先代は82.8)

これは実走行でのイメージともよく合致しています。 

一方、インテリアはボディ同色の樹脂パネルがインパネやドア内張りに張り巡らされており、黒一色とは違って室内がとても明るい印象。試乗車はキャンディホワイトだったので尚更。

ドライビングポジションから見える前方の景色は良い意味で「普通」になった印象。
先代のウインドシールドガラス下端が遥か前方に有ったので、特にそう感じる次第。

 

走行中のエンジン透過音は意外にもポロより大き目で、ポロでは感じなかったターボ特有の「ヒューン」と言うサウンドがエンジンルームから少々聞こえて来ます。

後席はホイールベースが20mm延長されたものの大人が定員の4名乗車するには膝元がキツめで、頭上スペースが改善されているとは言えどちらかと言えば2+2的なイメージです。

 

そんな新型ビートルですが、現在導入されているのはレザーパッケージ仕様(303万円)のみでVW販売店の話だと、ファブリックシート仕様のベースモデル導入時期は未定とのこと。
とはいえ、レザーパッケージ仕様の売れ行き次第では早まる可能性も無きにしもあらず。
車両価格250万円と随分手が届き易くなるだけに、早期導入が望まれます。

ちなみに「Design」グレードのベースモデルはHIDヘッドランプがオプション(12.6万円)扱いとなり、パドルシフトも非装備となっています。 

 

<The Beetle Design 諸元> 
参考データ(旧:ニュービートル、G:ゴルフⅥ、P:ポロ)

・エンジン型式:CBZ 
 直列4気筒SOHC ICターボ(旧:直列4気筒SOHC)
 総排気量:1197cc(旧:1595cc)
 最高出力:105ps/5000rpm(旧:102ps/5600rpm)
 最大トルク:17.8kg・m/1500~4100rpm(旧:15.1kg・m/3800rpm)
・ボディサイズ
 全長×全幅×全高:4270×1815×1495mm (旧:4130×1735×1500mm、
 G:4210×1790×1485mm、P:3995×1685×1475mm)
 ・ホイールベース:2535mm(旧:2515mm、G:2575mm、P:2470mm)
・トレッド前/後:1580/1545mm
 (旧:1510/1485mm、G:1535/1510mm、P:1460/1450mm)
・車両重量:1280kg(旧:1250kg、G:1270kg、P:1100kg)
・燃費:JC08モード17.6km/L(P:21.2km/L) 
・使用燃料:無鉛プレミアムガソリン
・ミッション:7速DSG(旧:6AT)
・最終減速比:4.437~3.227
 (旧:4.315、G:4.437/3.227/4.176、P:4.105/3.120/3.900)
・サスペンション
 (前) スタビライザー付 マクファーソンストラット
 (後) トーションビーム付トレーリングアーム
    (旧:同、G:スタビライザー付4リンク、P:トレーリングアーム)
・車両価格
    250万円(旧:249万円、G:264万円、P:218万円)
    303万円(レザーパッケージ)

■VW The Beetle(フォルクスワーゲン グループ ジャパン)
http://www.volkswagen.co.jp/cars/thebeetle/main.html

■愛知トヨタ自動車株式会社 Volkswagen安城 (取材協力)
http://www.aichi-toyota.jp/

Avanti Yasunori

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この記事の著者

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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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