新型ミラージュが目指す「リッター27.2km」を実現させる10のキーワードとは?

2011年末の東京モーターショーでプロトタイプが発表され、3月20日からタイで販売を開始した新型三菱ミラージュ。今後グローバルカーとなるミラージュの日本仕様車は、7月末の発表を目指して開発が進められています。この新型ミラージュの開発目標は、クラストップレベルの環境性能とコンパクトカーならではの扱いやすさ、そして買い得感のある価格設定を基本コンセプトとしています。

そのなかでも燃費性能はクラストップのリッター27.2kmを目標としていますが、これはガソリンエンジン車としてはトップの数値です。
では、どうやって27.2km/Lという燃費性能を実現させようとしているのかを、新型ミラージュのプロトタイプを見ながら考察してみましょう。

1)エンジンの軽量化とフリクションロスの低減

エンジンは排気量1Lの直列3気筒で吸気側に可変バルブタイミング機構(MIVEC)を採用しています。エンジンは樹脂製のインテークマニホールドを始めとした吸排気系、燃料系、冷却系などの補機類の合理化と軽量化、そしてフリクションロスを徹底的に低減させて、動力性能も向上させました。

2)アイドリングストップ機構制御の最適化

燃費向上に欠かせないアイドリングストップ機構、オートストップ&ゴー(AS&G)は違和感のないフィーリングを得るためにエンジンの停止・再始動の条件を細かく設定しています。

 3)減速時に発電してバッテリーを充電

またオルタネーターの発電によるエンジン駆動力のロスを低減させるため、減速中のエンジンブレーキ使用時にオルタネーターによる発電を行なう、減速エネルギー回生システムも採用されました。

4)副変速機付CVTで低燃費化

INVECS-IIIは遊星ギヤを用いた副変速機を備えたCVT。低速レンジと高速レンジを組み合わせたワイドレシオとして加速性能を向上させました。また変速制御を最適化し、直結領域を拡大することにより燃費性能の向上も図っています。

5)高張力鋼板を使用してボディを軽量化

ボディを軽量化するために高張力鋼板の採用比率を高め、従来比7%の軽量化を実現しました。同時に衝突安全性を強化する衝撃吸収フロント構造と高剛性キャビンを採用。

6)ボディの空力性能を向上

燃費向上のために空気抵抗も低減させたボディデザインを採用しました。

フロントバンパー下部左右にはエアダムを設けてボディサイドへ走行風を誘導し、サイドスカートで整流。

リヤバンパーはエッジ形状をすることで、スムーズに走行風を剥離させる事を狙っています。

ルーフは後部に向かって緩やかに落とされ、後端を2段階で落とし込んだ上でルーフスポイラーを装着することで空気抵抗を低減させました。

7)タイヤとホイールも燃費重視

タイヤは165/65R14として転がり抵抗の低減を図りましたが、ドイツのアウトバーンでも充分使用できる高速性能も備えています。ホイールカバーは空気抵抗が少ないデザインとしました。

8)サスペンション形状の合理化

フロントマクファーソンストラット式、リヤトーションビーム式のサスペンションは形状を合理化して強度と剛性を確保しながら軽量化を果たしました。

9)パワーステアリングも低燃費指向

パワーステアリングはコラム式電動パワーステアリングを採用しています。

10)自分のエコドライブを可視化

メーターにはAS&Gのインジケーターの他ECOドライブアシスト装備。ガソリン消費量と走行速度を基準に運転のエコ度を3段階で表示して、エコドライブのサポートをしてくれます。もちろん燃費計なども装備されています。

このような様々な努力でクラストップの27.2km/Lという燃費性能を目指して開発中の新型ミラージュ。果たして目標通りの燃費性能を達成することができるのか? 7月末の発表が待ち遠しいですね。

(ぬまっち)

【写真ギャラリーをご覧になりたい方は】https://clicccar.com/2012/06/05/162375

この記事の著者

ぬまっち(松沼 猛) 近影

ぬまっち(松沼 猛)

1968年生まれ1993~2013年まで三栄書房に在籍し、自動車誌、二輪誌、モータースポーツ誌、鉄道誌に関わる。2013年に独立。現在は編集プロダクション、ATCの代表取締役。子ども向け鉄道誌鉄おも!の編集長を務める傍ら、自動車誌、バイク誌、鉄道誌、WEB媒体に寄稿している。
過去に編集長を務めた雑誌はレーシングオン、WRCプラス、No.1カーガイド、鉄道のテクノロジー、レイル・マガジン。4駆ターボをこよなく愛し、ランエボII、ランエボVを乗り継いで、現在はBL5レガシィB4 GTスペックB(走行18万km!)で各地に出没しています。
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