■YZ250Fを駆りルーキーイヤーに栄光を獲得
国内のオフロード系2輪レースの最高峰「全日本モトクロス選手権」のIA2クラスで、ヤマハ発動機(以下、ヤマハ)の「YZ250F」を駆るビクトル・アロンソ選手(Auto Brothers)が、年間チャンピオンを獲得しました。
最終戦となる第9戦・第61回MFJ-GPモトクロス大会(2023年11月12日開催)で、ルーキーイヤーながら見事に自身初となるタイトルを手中にしました。
ヤマハは2023年シーズンの全日本モトクロス選手権で、トップクラスのIA1ですでにジェイ・ウィルソン選手(YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAM)が王者を確定。
また、IA1やIA2の登竜門となるIB-OPENでも、住友睦巳選手(bLU cRU フライングドルフィンサイセイ)が年間チャンピオンに輝いていることから、ヤマハは実に3冠を達成し、タイトルを独占したことになります。
●最終戦を制し、年間優勝10回を記録
人工的に作られた丘や起伏に富んだダートコースを専用バイクで走り、速さを競う競技がモトクロス。その国内大会のなかでもトップライダーが参戦するのが「全日本モトクロス選手権」です。
開催クラスには、主に4ストローク450ccマシンで競う最高峰のIA1、主に4ストローク250ccマシンで競うIA2、それに、若手ライダーたちの登竜門となるIB-OPENなどがあり、いずれもヤマハをはじめ、国内2輪メーカー製マシンを駆使して、熾烈なチャンピオン争いが繰り広げられています。
そんな全日本モトクロス選手権2023年シーズンのIA2クラスで、年間チャンピオンを獲得したのが、ビクトル・アロンソ選手です。
アロンソ選手は、スペイン出身、2003年生まれの20歳で、2023シーズンから全日本にデビューした期待の若手ライダーです。
3ヒート制で争われた開幕戦(HSR九州大会)でアロンソ選手は、最終ヒートで初優勝。2ヒート制で開催された第2戦(腕時計のベルモンドCUP)と第3戦(SUGO大会)の両方で、全レースを制し5連勝を記録。いきなりランキングトップに浮上します。
ところが、その後の大会では、ノーポイントレースなどもあり、リザルトが安定しなかったことで、第7戦(HSR九州大会)終了後には、ライバルの横澤拓夢選手(ホンダ)との差が11ポイントにまで縮まっていました。
しかし、第8戦(埼玉トヨペットCUP)では、ヒート1で優勝し8勝目をマーク。ヒート2ではトラブルによりノーポイントとなりましたが、ヒート3で2位表彰台を獲得し、ランキング2番手の横澤選手とのポイント差を28まで広げました。
そして最終戦。アロンソ選手は、ヒート1で横澤選手とのバトルを制し見事に優勝しチャンピオンを決定します。しかも、ヒート2でも勝利して、優勝10回を含む表彰台12回という成績で2023年シーズンを締めくくりました。
ちなみに、全日本モトクロス選手権のIA2クラスで、ヤマハは、2022年のウィルソン選手に続き、2年連続でチャンピオンを獲得。
また、前述の通り、2023年シーズンでは、IA1クラスでワークスマシン「YZ450FM」を駆るウィルソン選手が、第7戦(HSR九州大会)で年間チャンピオンを決定。IB-OPENでもYZ250Fを駆る住友選手が王者となっていることから、ヤマハは3冠を達成したことになります。
2023年シーズンを有終の美で終えたヤマハライダーたち。2024年シーズンには、一体どんな活躍を披露してくれるのか、今からとっても楽しみです。
(文:平塚直樹)