新型「トライトン」2連覇ならず!三菱自動車が総合3位を獲得【アジアクロスカントリーラリー2023】

■上位2台の合計タイムで争われるチーム賞も受賞

以前お伝えしたように、三菱自動車が技術支援する「チーム三菱ラリーアート」は、2023年8月13日(日)~19日(土)にタイ・ラオスで開催されたアジアクロスカントリーラリー2023(AXCR)に、新型トライトン(T1仕様=改造クロスカントリー車両)で参戦していました。

総合3位入賞のチャヤポン・ヨーター選手(左)とピーラポン・ソムバットウォン選手
総合3位入賞のチャヤポン・ヨーター選手(左)
とピーラポン・ソムバットウォン選手

総走行距離2033.42km、そのうち競技区間973.98kmを走破し、前回の覇者チャヤポン・ヨーター選手(タイ)が合計タイム12時間0分40秒(総合首位から14分18秒差)で総合3位に入賞しました。

また、今回初参戦の田口勝彦選手は総合8位、リファット・サンガー選手(インドネシア)は総合32位でした。

さらに「チーム三菱ラリーアート」は、2台以上のエントリーですべての車両が完走し、うち上位2台の合計タイムで争われるチーム賞を受賞しています。

例年どおり雨季の開催になった2023年の「AXCR」は、13日にタイ・パタヤの有名観光地であるウォーキングストリートでセレモニアルスタートが行われました。そして、14日の「レグ1」から16日の「レグ3」まで、タイで競技区間(スペシャルステージ=SS)が競われました。

17日の「レグ4」では国境を越え、ラオス・チャンパーサック付近でSSを実施。その後、18日の「レグ5」は、ラオス国内の高原エリアであるパクソンを走破しています。19日の「レグ6」では、「SS」の後、世界遺産であるプラサート・ワット・プー内でセレモニアルゴールを迎えました。

タイでは好天が続いたため、荒れた乾燥未舗装路での高速ステージが主体で、ラリーカーが走行すると細かいダストが舞い、前方車両に近づくとダストで前が見えないなど、ドライバーたちを悩ませたようです。

ラオスでの後半戦は、タイでは見られなかった大きな穴が開いた道やぬかるんだ路面、川越えなどでドライバーたちの行く手を阻む険しいコースが続きました。

「AXCR」で2連覇を狙った101号車チャヤポン・ヨーター選手は、2日目の「SS2」で2位タイムを記録して新型トライトンのハイパフォーマンスを発揮。安定したレース運びによって地元タイでの前半戦を総合4位で折り返すと、後半戦初日の「SS4」では3位のタイムをたたき出し、総合3位に浮上しました。

その後も常に「SS」上位をキープする堅実な走りを続け、新型トライトンを3位表彰台に導いています。

新型トライトン(T1仕様)の走行シーン
新型トライトン(T1仕様)の走行シーン

今回、「AXCR」初参戦になった112号車の田口勝彦選手は、初のクロスカントリーラリー挑戦でした。持ち前の正確なハンドリングとそのスピードを活かし、初日の「SS1」はトップタイムを記録。しかし、トラブルに見舞われたライバルに前をふさがれてペースを上げられなかったり、複雑に枝分かれするジャングルの道に悩まされたりするなど、苦戦を強いられ、総合8位で初の挑戦を終えました。

106号車のリファット・サンガー選手は、初日の「SS1」で丈の高い雑草でフロントグリルが覆われたことによる冷却系トラブルで大幅にタイムロスし、8時間のペナルティを受けて大きく後退したため、以降はチームメイトの2台をサポートする役割を担って走行。

前走者が多く、上位フィニッシュが困難な後方からのスタートが続く中、「SS5」ではトップタイムを記録するなど好走するも、総合32位になりました。

チーム三菱ラリーアートの増岡 浩総監督は、

「雨季に関わらず、雨がほとんど降らない夏の強烈な暑さに加え、近年まれにみる悪路が続く中をハイスピードで駆け抜ける過酷なコース設定でした。
チーム三菱ラリーアートは、フルモデルチェンジによって全方位で進化を果たした新型トライトンで参戦。発表したばかりの新型車であり、短期間でラリーカーを製作しましたが、随所でそのパフォーマンスを発揮することができ、総合3位になりました。
残念ながら2連覇はなりませんでしたが、ほぼ量産車と同じ仕様で、市販車の部品を使って参戦し、1台も欠くことなく3台全てが完走でき、私たちの車づくりの方向性は間違っていないと確信できました。
また、ラリーカーとしてどう戦闘力を上げていくかという課題、市販車にもフィードバックすべき技術的な情報も得ることができました。世界各地のファンの皆さまからの熱いご声援、本当にありがとうございました」

と、悔しさもありながらも、新型トライトンに対する確かな手応えも得たようです。

■AXCR2023 四輪部門 総合成績
1位:青木拓磨(トヨタ・フォーチュナー)11時間46分22秒
2位:トゥバグス・モレンシャディ(トヨタ・フォーチュナー)11時間50分50秒
3位:チャヤポン・ヨーター(三菱・トライトン)12時間00分40秒
4位:ラズ・ハイマン(シーガル・シーガル)13時間10分40秒
5位:ピティポン・プロンチュティクン(トヨタ・ハイラックスレボ)13時間30分59秒
6位:マナ・ポーンシリチャー(トヨタ・ハイラックス)13時間33分25秒
8位:田口勝彦(三菱・トライトン)13時間49分31秒
32位:リファット・サンガー(三菱・トライトン)30時間22分29秒

(塚田 勝弘)

【関連リンク】

AXCRスペシャルサイトでデイリーレポートを公開中
※8月13日(日)の大会初日から19日(土)の最終レグまで、デイリーレポートを三菱自動車でのAXCRスペシャルサイトで公開中
https://www.mitsubishi-motors.com/jp/innovation/motorsports/axcr2023/

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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